2017.08.07(月)大会

【世界選手権】デイリーハイライト(Day2:8月5日)

男子100m、日本選手の決勝進出ならず!

女子10000mの鈴木、入賞にあと一歩の10位



大会2日目は、男子100m、女子10000mなど4つの決勝種目が行われました。厚い雲が広がった日中は、風も強く、時折、雨にも見舞われましたが、決勝が行われたイブニングセッションが始まるころには天候も回復し、まずまずのコンディションとなりました。日本勢は、まず、モーニングセッションで行われた男子400m予選第6組に、北川貴理選手(順天堂大)が出場しましたが、47秒35で6着という結果でした。

イブニングセッション最初のトラック種目となったのが男子100mの準決勝。前日の予選を通過した日本の3選手が決勝進出を懸けて挑みました。進出の条件は3組2着+2でしたが、1組目のケンブリッジ飛鳥選手(Nike)は持ち味の終盤の伸びやかさを出せず10秒25(-0.5)で6着、2組目に入ったサニブラウン・アブデルハキーム選手(東京陸協)はスタート直後にバランスを崩して10秒28(-0.2)で7着、3組目で再び予選に続いてウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)と対戦した多田修平選手(関西学院大)も力みが出て10秒26(+0.4)で5着。世界選手権におけるこの種目初のファイナリスト誕生は、次回以降に持ち越しとなりました。

一発決勝で行われた女子10000mには、松田瑞生選手(ダイハツ)、鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)、上原美幸選手(第一生命グループ)の3選手が出場しました。レースは超スローペースの入りから3600mで世界記録保持者のアルマズ・アヤナ選手(エチオピア)が飛び出す展開に。アヤナ選手が圧倒的な強さを見せて、今季世界最高となる30分16秒32で優勝しました。日本人トップは、中盤以降で入賞を狙える位置で粘りを見せた鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)で、今季日本最高となる31分27秒30をマークして10位でフィニッシュ。松田瑞生選手(ダイハツ)は31分59秒54で19位、上原美幸選手は(第一生命グループ)は32分31秒58で24位という成績でした。

今季限りで現役引退を表明しているボルト選手の、個人種目での「ラストレース」として注目を集めた男子100m決勝は、好スタートでトップに立ったクリスチャン・コールマン選手(アメリカ)をボルト選手が追う展開に。しかし、ボルト選手の逆転は叶わず、さらに終盤で猛追してきたジャスティン・ガトリン選手(アメリカ)にもかわされ3位(9秒95、-0.8)でのフィニッシュとなりました。優勝したのはガトリン選手で記録は9秒92、2位のコールマン選手は9秒94で続きました。


【選手コメント】
◎北川貴理選手(順天堂大)
男子400m予選 6組6着 47秒35 

「8レーンだったため内側(を走る選手のレース展開)がどんな状況かわからず、9レーンの選手を目安に走ったら前半で飛ばしすぎてしまった。いつもなら後半でもうちょっと伸びがあるのだが、今日は後半につながる走りができなかったと思う。世界選手権やオリンピックは、今までずっとマイル(4×400mR)での出場だった。個人で出場している選手を見て、いつか僕もあの舞台に立ちたいと目標にしてきただけに、いい形で終われなかったことが悔しい。今日で、だいたい(自分の調子が)どんなものがわかったし、(レースしたことによって)刺激もかなり入ったので、これを経験として、マイルで頑張りたい。」


◎ケンブリッジ飛鳥選手(Nike)
男子100m準決勝 1組6着 10秒25(-0.5)

「悔しい。昨日(の予選で)感じた後半の部分をしっかり修正していこうと思ったのだが、うまく修正しきれずに終わってしまった。前半はそれなりにいい形で入れたのだが、終盤の最後のところで自分がイメージするようにうまく脚をコントロールすることができなかった。
日本選手権でしっかり(ピークを)合わせてベスト(10秒08)も出して、ある程度手応えを感じたので、(世界選手権では)もう少しやれるかなという気持ちで臨んでいた。決勝進出ラインは10秒10。ベストの感じで走っていれば、可能性は昨年以上にあっただけに残念に思う。
結果として昨年のリオ五輪に続いて同じような形で、準決勝で終わってしまった。同じ失敗をしてしまったのはよくないなと思う。来年は世界大会がないので、しっかり強くなって、またこの舞台に戻ってきたい。」


◎サニブラウン・アブデルハキーム選手(東京陸協)
男子100m準決勝 2組7着 10秒28(-0.2)

「(スタート直後につまずいてしまったことに対して)盛大にやらかしてしまった。予選のあと、コーチと話して、スタートのときに出る身体の角度を修正した。いい角度で出ることはできたのだが、脚がついてこなくて、つまずく形になったのかなと思う。レベル的には行けると思っていたので、正直悔しい。
予選では、身体がきれいに動き、自己タイ(10秒05)で走れた。すごく気持ちよくレースができたので、(この調子なら)決勝まで行って、もしかしたらメダルを狙えるんじゃないかと感じていた。“悔しい”のひと言しかない。
(つまずいた瞬間は)“あーっ”と思いながら足を前に頑張って運ぼうとしたのだが、若干気持ちが切れてしまった部分もあった。(それがなければ)巻き返せなくはなかったと思うのだが…。そういうメンタル面での反省も、今後につなげていきたい。
100mに関しては、(200m以上に)1歩1歩が大切になってくる。1つでもミスを犯すとそこで出遅れてしまい、巻き返すのも大変だということが身に沁みたレースとなった。このあと、200mもある。気持ちを切り替え、身体をリフレッシュさせて、いい形で臨めるようにしたい。」


◎多田修平選手(関西学院大)
男子100m準決勝 3組5着 10秒26(+0.4)

「準決勝に進んだことで、(掲げていた)最低限の目標は達成できたが、予選よりもタイムを落としてしまっているので、そこが一番悔しい。
(準決勝の走りは)スタートの反応速度も遅かったし、中盤からボルト選手とかが見えて、そこで力が入ってしまい、スピードに乗ることができなかったように思う。スタートが遅れたのは、緊張感もあって集中しきれなかった部分もあるかもしれない。
今回、世界選手権を走って痛感したのは、自分の体格の細さ。僕は東京五輪を一番の目標にしているのだが、それまでに筋肉を増やして、世界と戦えるような力をつけていきたい。また、スタートが僕の一番の武器だと思っていたのだが、中盤くらいでかわされたので、まだまだ力が足りないなと思った。この舞台に立っていなければ、そうした自分(と世界のトップ選手と)の差もわからなかったと思う。
自分の弱さというか、まだまだ力が足りないなということが明確になったが、一方で伸びしろもあると思う。今後、トレーニングを積んで頑張っていきたい。
(ボルト選手と走れたことを問われて)ボルト選手は今回がラストラン。(予選・準決勝と)2回も一緒に走れたことは、本当に嬉しいし、いい経験になった。」


◎鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)
女子10000m決勝 10位 31分27秒30

「(5000mで9位となった)北京(2015年世界選手権)のときは、出し尽くして、無欲で挑んでの9位で、終わってみて“あーっ”という感覚だったが、今回は入賞を狙いにいって、こういう結果(10位)だったので、また違う悔しさというか、切ないというか。電光掲示板を見て、“ああ、届かなかったな”という思いだった。
(前半が非常にスローな展開となったが)今回は、やみくもに攻めて…というよりは、レースのなかでしっかり流れに乗って勝負所で(勝負しよう)と考えていた。もうちょっといいレース展開だったらなという思いはある。しかし、(急激なペースアップもあることは)想定していたことだし、これが世界なのかなと。強い選手は、ああいう難しいレース展開になっても入賞してくる。まだ自分の力が足りていないなと思った。
(レース中は)“あの集団の前でゴールすれば入賞だな”ということはわかっていたので、前半、難しい位置になってしまっていたが、焦らずにリラックスを心がけ、なるべく早い段階で入賞争いの集団に追いつき、後半そこで戦えるようにしようとした。
今回、練習はしっかりできていたし、レース自体も(前半の)5000mを相当スローなタイム(16分10秒26)で通過して、後半でラップを上げることができたので、調子は悪くなかったと思う。入賞を狙える状態に仕上げることができたと思うので、本当に悔しい。
このあと5000mが残っている。中1日でのレースは日本選手権で経験している。(5000mでも)行ける可能性はあると思うので、もう一度つくり直して、ベストの走りができるよう頑張りたい。」


◎松田瑞生選手(ダイハツ)
女子10000m決勝 19位 31分59秒54

「(5000mを過ぎて鈴木選手に離されたが)冷静だった。つこうと思ったが、向こうはペースに乗っていたし、私は最初のほうでケニアについていけるところまで行こうと思って行って、たらたらペースが落ちてしまっていた。なかなかペースの切り替えができなかったので惨敗といえる。
スローペースのときに集団の前方にいたので、レースが動いた時には対応できた。しかし、そのままの持続力はないので…。でも、走っているときはアヤナ選手の真後ろについていた。“この選手の後ろについて走っている”というのがドキドキ、ワクワクで、楽しかった。
日本選手権のあと、アジア選手権に出て、その後、ボルダーで合宿したのだが、そこで疲労が出て体調を崩してしまい、(大会に向けては)最後の土壇場で合わせた感じだった。そこがこの結果の原因かなとも思うし、そこでもっと調整できる力がつけば、今日はもっと戦えたと思う。そういう状況のなかで、最低限の走りができたのではないかなと思う。
自分は10000mでは世界を狙おうと思っていない。目指そうとしているマラソンで、こういうペースアップのときに対応できるような持久力や体力をつけたら、世界で少しでも戦えるんじゃないかなと思った。この経験を糧にしたい。」


◎上原美幸選手(第一生命グループ)
女子10000m決勝 24位 32分31秒58

「鈴木さんと松田に比べて、いいレースではなかったが、この悔しさを絶対に忘れないで、ここから根性を見せて、またこういう舞台に戻ってきたいという思いでいる。
レースプランは、ここまでスローになるとは思っていなかったので、最初は冷静に落ち着いて入って、後半粘って追い上げていくレースをイメージしていた。リオ五輪の10000mを想定していたので、スローになって1~2周目のときに、“ここで出なくていいや、今日はついて行こう”と考えた。それが間違った選択だったなと思う。
スローでの展開となり、その(遅い)ペースにはまってしまい抜け出せなくなってしまった。同じようなことは練習でも何度かあって、甘く見ていたと痛感した。そこを埋めていかないと、今後、距離を延ばしても先は見えてこないなと思った。
(5000mで決勝進出を果たした)リオ五輪のときほど仕上げられていなかったというのは正直ある。でも、この舞台に立つまでに最低限の準備は自分なりに尽くしてきた。出場できたことに感謝しているが、でも、今日はすごく自分の弱いレースを見せてしまったので悔しい気持ちが大きい。
(アヤナ選手に周回遅れにされたときは)まるで自分が歩いているかと思うくらい(のスピード差)で、もう“シュンッ”と抜いていかれてしまった。もっと自分を磨いて出直してきたい。」


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト

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