2018.02.20(火)大会

【大会レポート&コメント】髙橋選手、岡田選手揃って4連覇達成!/日本選手権20km競歩


 第101回日本選手権男子・女子20km競歩は2月18日、8月末に開催されるジャカルタアジア大会の代表選考会を兼ねて、兵庫県神戸市の六甲アイランド甲南大学周辺公認コース(2.0km)で開催されました。
 序盤からハイペースの展開となった男子は、残り5kmを切ったところでリードを奪った髙橋英輝選手(富士通)がアジア歴代2位(日本歴代2位)となる1時間17分26秒で優勝。2位・山西利和選手(京都大)、3位・松永大介選手(富士通)までが1時間17分台をマークしたほか、8位までが1時間19分台となる高水準のレースとなり、歴代上位記録、新記録が続出する結果となりました。女子は7kmを過ぎたところで“一人旅”となった岡田久美子選手(ビックカメラ)が1時間32分22秒で先着。髙橋選手、岡田選手ともにそれぞれの連勝回数を、20km競歩での最高となる「4」へと増やしています。


■髙橋選手がアジア歴代2位の1時間17分26秒でV4達成!入賞者全員が1時間20分を切る好記録ラッシュ

 気温は5~6℃前後ながら、風がほとんど感じられない穏やかな快晴となったこの日。午前9時50分にスタートした男子では、序盤から速いペースでレースが展開されました。
 スタート直後から松永選手が前に出ると、すぐに山西選手、髙橋選手が続いて3人が先頭集団を形成して最初の1kmを3分52秒で通過。50mほど離れて4位以降が大集団で続く滑り出しとなりました。先頭は3km辺りから山西選手と松永選手がリードして髙橋選手がついていく展開に。一方、第2集団は2km地点で10人前後に絞られましたが、その後、藤澤勇選手(ALSOK)が抜け出して、5km付近でトップの3選手(19分36秒で通過)に追いつきます(藤澤選手は19分37秒で通過)。10kmはこの4選手が39分00秒で通過、これに続いて荒井広宙選手(自衛隊体育学校)と野田明宏選手(明治大)が前を引っ張る形(両選手は39分45秒で通過)で池田向希選手(東洋大)、丸尾知司選手(愛知製鋼)、川野将虎選手(東洋大)、及川文隆選手(東洋大)の6名が39分46秒で通過していきました。

 トップ争いは、11kmあたりで松永選手が徐々に遅れ始め、12km地点で5秒だった差は15kmで10秒に開きました。先頭を行く山西・藤澤・髙橋選手は15kmを58分22~23秒で通過。ここで、「いつもだったら最後まで後ろについていくところだが、余裕があったので自分のペースで行こうと思った」と後に振り返った髙橋選手が、15~16kmを3分47秒にペースアップすると、その後を1km3分48秒前後のラップで押していきます。最後の1kmは3分52秒となりましたが、15kmからの5kmを19分03秒に引き上げる強さを見せ、自身初の1時間17分台突入となる1時間17分26秒でフィニッシュ。この種目史上初の4連覇を果たしました。優勝記録の1時間17分26秒は、世界記録でもある鈴木雄介選手(富士通、2015年)の持つアジア記録(=日本記録)1時間16分36秒に続くアジア歴代2位(日本歴代2位)に位置し、世界歴代8位となる好記録です。
 2位でフィニッシュしたのは山西選手。髙橋選手には突き放されたものの最後の5kmを19分18秒でカバー。1時間17分41秒は鈴木選手、髙橋選手に次ぐ日本歴代3位で、学生新記録でもあります。3位には松永選手が1時間17分46秒で続きました。この記録は日本歴代4位となるもの。15km以降を19分14秒にペースアップする歩きで自身初の1時間17分台突入を果たしました。

 また、入賞した4位から8位も1時間19分台。なかでも4位・6位・8位に食い込んだ東洋大の池田選手(1時間19分13秒)、及川選手(1時間19分17秒)、川野選手(1時間19分52秒)はそれぞれ学生歴代5位・6位・7位にランクインする好記録をマークしました。ベテランの藤澤選手(1時間19分15秒)は残り5kmで順位を落として5位に。7位には1時間19分19秒の自己新記録をマークした荒井選手が、“50km勢最高位”でフィニッシュしました。 


■岡田、復帰レースで4連覇を達成
 女子20kmは、3連覇中の岡田選手が序盤から主導権を握る形でレースを牽引。先頭集団は3kmで3人となり、5kmは道口愛選手(自衛隊体育学校)とともに22分45秒で通過しましたが、7km手前で道口選手との差を広げると、そのままリードを広げていきました。10kmは45分43秒を通過してここで後続に13秒の差をつけると、15kmは1時間08分48秒で通過。「14kmを過ぎてからはとてもきつかった」と振り返ったように、最後の5kmは23分34秒かかったものの最後まで粘り、1時間32分22秒でフィニッシュラインへ。この種目として初めてとなる4連覇を達成しました。2位には河添香織選手(立命館大)が1時間33分44秒で食い込み、3位には道口選手が1時間33分52秒で続きました。 


■U20選抜競歩は住所選手が高校最高記録でV! 女子は村上選手が制す
 例年同様、日本選手権に先立ち、第29回U20選抜競歩大会(昨年までは、日本ジュニア選抜競歩の大会名で実施)として、U20男子10kmとU20女子5kmのレースが実施されました。先頭争いが5kmで4人となり、6km以降は3人に絞られた男子は、ラスト500mで先頭に立った住所大翔選手(飾磨工高)が、40分14秒の高校最高記録で優勝。従来の記録(40分20秒;山﨑勇喜、富山商高、2002年)を6秒更新しました。2位には鈴木匠選手(順天堂大)が40分21秒で続き、この2選手が昨年樹立された大会記録(40分28秒)も塗り替えました。女子は、ラスト1kmで順位を上げた村上藍選手(尚絅高)が22分32秒の大会新記録をマークして制しています。

※本文中、1kmごとのラップは筆者計測による記録。なお、5kmごとのスプリットは公式発表の記録である。
※※初回掲載時に、本文中のU20日本最高記録に関する記述に誤りがあったため、2月20日17時48分に該当箇所を修正しました。

【日本選手権獲得者コメント】
■日本選手権男子20km競歩
髙橋英輝(富士通)1時間17分26秒 =大会新記録

「周りの選手が強かったので、自分もその流れに乗って、いい歩きができた。運もよかったと思う。レース前半は、最初の4kmくらいで“浮き”の警告が出ていたが、後半に向かうにつれて動きがだんだんよくなっていき、終盤は自分の歩きができていた。(疲労骨折の診断が出ていた脚の痛みも)レース中は気にならなかった。
(1時間17分26秒という記録については)速いとは思う。でも、記録がいいとか、4連覇を喜ぶとかというより先に、世界で結果を出さないと何もいえないというのが正直な気持ち。これまで(世界大会のたびに)何度も情けない思いをして帰ってきていて、その悔しさをどうやったら晴らせるかということをずっと考えてきた。まずは日の丸を背負って臨む夏場の国際大会で、きちんと結果を出したい。おそらく今回の結果でアジア大会の代表には選んでいただけると思うので、(記録が出たことには)あまりこだわらず、粛々と準備を進めていきたい。
(一緒にレースした)周りの選手がスピードを鍛えていることもあり、(結果的に)スピードレースになったが、自分はここまでスタミナ面を重点的にやってきていたので、後半も自信を持って歩くことができた。もともと前半はスピードにも自信がある。そのいいところを残しつつ、スタミナ面も強化できてきている感じ。11月・12月と50kmの方々と一緒に練習をやったことで、最初は全くできなかった長い距離の練習にもついていけるようになり、“あ、強くなったな”という実感がある。それが20(kmのレース)に結びつけられれば…。世界との差を考えたとき、自分には夏場のタフさが全然足りていない。そこを身につければ勝負はできる。泥臭い練習を精一杯頑張っていくことがこれからの課題。そこがクリアできれば結果は出せると思うので頑張っていきたい。」


■日本選手権 女子20km競歩
岡田久美子(ビックカメラ)1時間32分22秒

「体調を崩して、回復するまでに時間がかかってしまい、たくさんの方に心配をかけてきたので、勝つことができてホッとしている。
 今日は、今村さん(文男、競歩担当オリンピック強化コーチ)からは1時間32分台くらい(のタイムになるだろう)と言われていた。この記録だと10km通過は46分台がメドになるのだが、10km以降に不安があったので、前半を少し早めの45分台くらいで行くことをイメージした。後半は落ちることがわかっていたし、14km以降はとてもきつかったが、そこを我慢してなんとかゴールしたという感じ。
 世界陸上ぶりの試合で、国内レースも久しぶり。“出し切る”ということを練習でもレースでもやっていなかったので、どのくらい自分が歩けるのか正直わからなかった。不安はあったけれど、もう1回、東京五輪に向けて頑張りたいと思ったので、今日はどんなタイムでも優勝を目指したいと思っていた。
(この大会への)出場を決めたのが12月。1カ月半くらいの準備期間となってしまったが、そのなかで改めて“自分は競歩が好きなんだな”と実感することができた。タイムとかは全く納得のいくものではないのだが、まずは再スタートを切れたかなと思っている。これから、もう一回筋力をつけて、体調管理もしっかりやって、次のシーズンに向かっていきたい。」

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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