2018.10.10(水)大会

【福井国体】大会レポート(10/5~10/9)

第73回国民体育大会(福井しあわせ元気国体2018)の陸上競技は、10月5~9日、福井県営陸上競技場において開催されました。この大会は、成年(一部種目については少年A年代の出場も可能)、少年A(高校2・3年生)、少年B(高校1年生・中学3年生)、少年共通(高校生および中学3年生)、成年少年共通の年代別に区分された全56種目(男子29種目、女子27種目)が実施され、男女総合成績および女子総合成績が47都道府県によって競われます。8月に行われたジャカルタアジア大会の日本代表選手をはじめとして、日本選手権、全日本実業団、日本インカレ、インターハイ、全日本中学校選手権等で活躍した各年代のトップ選手たちが多数出場しました。日本記録のアナウンスこそありませんでしたが、U20日本新記録などの好記録が誕生しています。
 ここでは、大会の模様を1日ごとのハイライトで振り返ります。


◎10月5日(金): 第1日


台風25号接近に伴う影響が懸念されるなかでの開幕となった今大会。初日は、雲はあるものの日差しが強く、気温も27.5℃まで上がり、この時期にしては蒸し暑さを感じるコンディションとなりました。午後になると風が強まってきましたが、天気は崩れることなく、9種目で決勝が行われました。

少年男子A棒高跳は大﨑洋介選手(明石商高・兵庫)が5m00で、同走幅跳は海鋒泰輝選手(西武台千葉高・千葉)が7m71(+1.7)で、ともにインターハイに続いて今季2つ目の全国タイトルを獲得。

成年女子5000mには、アジア大会女子マラソン銀メダリストの野上恵子選手(十八銀行・長崎)、同女子5000m6位の山ノ内みなみ選手(京セラ・鹿児島)、同女子10000m7位の堀優花選手(パナソニック・岐阜)、日本選手権女子1500mを制しているダイヤモンドアスリートの髙松智美ムセンビ選手(名城大・大阪)、U20世界選手権女子3000m金メダリストの田中希実選手(ND28AC・兵庫)ら錚々たる面々が出場。レースは、残り2周で田中選手が先頭に立つと、ラスト1周で追いすがる髙松選手を突き放し、15分34秒22で先着。髙松選手が15分35秒47で続き、野上選手が15分37秒28・3位でフィニッシュしました。


少年男女Aの100mは、台風25号接近の影響もあり、準決勝以降は強い向かい風が吹く悪コンディションに。向かい風0.1mのなかでのレースとなった女子の決勝では、予選から安定した強さを見せていた2年生の三浦由奈選手(柴田高・宮城)が11秒83で優勝。インターハイ覇者でアジア大会女子4×100mR代表の御家瀬緑選手(恵庭北高・北海道)は、11秒89・4位でのフィニッシュとなりました。また、インターハイを制したダイヤモンドアスリートの塚本ジャスティン惇平選手(城西高・東京)がエントリーしなかった男子は、インターハイ2位で今季高校リストトップとなる10秒35をマークしている桑野拓海選手(宮崎北高・宮崎)が予選で脚を痛めて途中棄権する波乱もあるなか、瀬尾英明選手(西武台千葉高・千葉)が混戦となった決勝を制して、10秒68(-1.4)で全国大会初優勝を飾りました。

また、この日行われた投てき3種目では、すべて大阪の選手が制覇しました。少年女子共通砲丸投は、2年生の廣島愛亜梨選手(大阪高・大阪)が、3回目に高2歴代6位タイの14m40をマークしてトップに立つと、5回目に同歴代5位となる14m62をプット。優勝が決まった最終投てきで、さらにその記録を14m65まで伸ばし、大野史佳選手(西武台高・埼玉、14m53・2位)の“インターハイ・国体2冠”を阻みました。成年女子円盤投は、日本選手権砲丸投覇者で日本インカレ砲丸投・円盤投2冠の郡菜々佳選手(九州共立大・大阪)が53m97で、さらに少年男子B砲丸投では杉村武紀選手(北野高・大阪)が16m84で、それぞれ優勝しました。

このほかでは、少年男子共通800m予選2組で、ダイヤモンドアスリートのクレイアーロン竜波選手(相洋高・神奈川)がU18日本歴代3位となる1分49秒86でフィニッシュ。高校2年生として初めて1分50秒の壁を破る高2最高記録を樹立して、翌日の決勝に駒を進めました。
 

◎10月6日(土): 第2日


 10のトラック種目と6のフィールド種目で決勝が行われた大会2日目。台風25号接近による影響で、ホームストレートが向かう風がどんどん強くなっていく、あいにくのコンディションとなりました。

 この日は、成年男子100mが行われました。正面スタンドは、予選が行われた午前の時点でほぼ満席状態。今季日本選手に負けなしで、10秒00(アジア大会、銅メダル)、10秒01(全日本実業団3連覇)を筆頭に、好記録を連発している山縣亮太選手(セイコー・広島)による日本人2人目の9秒台突入なるかに注目が集まりました。

山縣選手は予選(10秒53、-2.1)、準決勝(10秒39、-1.6)ともに全体トップタイムで決勝へ。16時50分から行われた決勝は、風向をチェックする吹き流しが千切れそうな勢いではためくほどの強い向かい風となるなかスタート。山縣選手は中盤に抜け出すと、後続との差を広げてフィニッシュしました。この日、一番の強さとなる5.2mの向かい風に阻まれ記録は10秒58にとどまったものの、圧倒的な強さを印象づけるレースで個人種目の今季最終戦を終えました。2位(10秒71)は今季大きな躍進を見せてアジア大会200mでも金メダルを獲得した小池祐貴選手(ANA・北海道)。3位(10秒80)には、前半を好走した九鬼巧選手(NTN・和歌山)が続きました。


女子400mHではこの種目のアジア大会代表で、七種競技で5821点(日本歴代4位)の自己記録を持つ宇都宮絵莉選手(長谷川体育施設・兵庫)が57秒54で優勝。6月に岐阜で開催されたアジアジュニア選手権金メダリストの吉田佳純選手(駿河台大・岐阜)が2位・58秒46でフィニッシュしました。

 2日目も大阪の選手が4種目に優勝。その活躍ぶりが目を引きました。前日の成年女子円盤投を制している郡菜々佳選手(九州共立大)が成年女子砲丸投(15m84)にも勝って2冠を達成。成年女子走高跳では、強風でバーが飛ばされるような悪条件のなか津田シェリアイ選手(東大阪大)が自己新記録となる1m83をクリアして優勝を果たしたほか、4.4mの向かい風のなか行われた少年女子B100mでも青山華依選手(大阪高校)が12秒39で、少年男子B走幅跳では田中隆太郎選手(摂津高)が7m59(+4.7)で、それぞれ国体チャンピオンとなりました。なお、この少年男子B走幅跳で2位(7m52、+2.8)となった藤原孝輝選手(洛南高・京都)は、公認記録で高1歴代4位となる7m46(+1.1、4回目)をマークしています。

少年男女の共通円盤投は、ともに今シーズン、高校記録を樹立している山下航生選手(市岐阜商高・岐阜、58m02)と齋藤真希選手(鶴岡工高・山形、52m38)が出場。大会前は記録更新も期待されていましたが、強い追い風のなかでの競技となったこともあり、山下選手は52m59、齋藤選手は46m87にとどまりました。とはいえ山下選手は高校新記録で制したインターハイに続く今季2つ目の全国タイトル獲得。前回覇者の齋藤選手は2連覇を達成するとともに、日本選手権、インターハイに続いて今季3つ目の全国制覇を果たしています。

同様に強風の影響を受けたのが少年男子共通800m。少年男子初日の予選でU18日本歴代3位(高2最高記録)の1分49秒86をマークしていたダイヤモンドアスリートのクレイアーロン竜波選手(相洋高・神奈川)が、400m手前でトップに立って、そのまま逃げ切ってインターハイ・国体の“2冠”を達成しましたが、優勝記録は1分52秒74にとどまりました。

◎10月7日(日): 第3日


 12種目で決勝が行われた大会3日目は、台風一過の好天気。風向きも前日までと正反対になりました。午前中は参考記録となる強風が吹いていましたが、決勝が行われる時間帯にはそれも収まり、2m未満の風がホームストレートを追う、絶好のコンディションとなりました。

 好記録が誕生したのはU20規格(ハードルの高さ0.991m、ハードル間の距離9.14m)で行われた少年男子共通110mH。多和田旭選手(大垣商高・岐阜)が、予選を13秒49(+3.5)、準決勝を13秒43(+2.1)と、ともに全体トップでラウンドを突破。1.5mという絶好の追い風に恵まれた決勝では、U20日本タイ、高校最高となる13秒31の好記録でフィニッシュしました。多和田選手は早生まれのため、U18日本最高記録も更新したことになります(多和田選手の新記録樹立コメントはこちら)。また、U18規格(ハードルの高さ0.762m、ハードル間の距離8.5m)で行われた少年女子B100mHでは、浅木都紀葉選手(口田中・広島)が予選で中学歴代2位となる13秒78(+0.7)をマーク。追い風2.0m条件で行われた決勝では、さらに0.01秒縮める13秒77でフィニッシュして3位に食い込みました。


 成年男子10000m競歩は、長い故障からの復帰を果たした20km競歩世界記録保持者の鈴木雄介選手(富士通・石川)、世界競歩チーム選手権20km競歩金メダリストの池田向希選手(東洋大・静岡)、アジア大会20km競歩銀メダリストの山西利和選手(愛知製鋼・京都)、2017年ロンドン世界選手権50km競歩銅メダリストの小林快選手(ビックカメラ・埼玉)ら、豪華な面々が出場して行われました。最初の1000mを4分09秒(公式記録による)で入ったレースは、800m付近で鈴木選手が先頭に立つと、これに山西選手と池田選手がぴたりとつき、1000m以降はこの3選手が先頭集団を形成して進んでいきました。6000m過ぎで鈴木選手がペースアップすると山西選手が後退し、優勝争いは2人に絞られましたが、7600m付近で池田選手が前に出ると、鈴木選手はこれにつくことができず、差が広がっていきました。池田選手は、そのまま逃げ切り39分05秒44で優勝。鈴木選手は39分25秒49で2位、山西選手が39分45秒92で3位という結果になりました。

 成年男子走高跳は、アジア大会銅メダリストの戸邉直人選手(つくばツインピークス・茨城)が2m25でV。成年女子400mもアジア大会代表の川田朱夏選手(東大阪大)が53秒97で制しました。成年女子やり投は、ダイヤモンドアスリート修了生の北口榛花選手(日本大・北海道)が58m83で、日本インカレに続いて秋シーズン2連勝。成年男子三段跳でも、故障の影響で春先不振だった山本凌雅選手(JAL・長崎)が追い風参考(+2.2)ながら16m74をマークして、全日本実業団に続き優勝を果たしています。

 一方、少年女子A走幅跳では、6月のアジアジュニア選手権を6m44のU20日本タイ記録で制し、U20世界選手権でも銀メダルを獲得している高良彩花選手(園田学園高・兵庫)が2回ファウルののちに5m65(+1.5)にとどまりベスト8漏れする波乱。日本選手権、インターハイに続く今季全国タイトル3冠、そしてこの大会での2連覇を逃すことになりました。優勝したのは、インターハイこの種目2位で、三段跳を制している河添千秋選手(松山北高・愛媛)。3回目に6m07(+1.3)を跳んで、2位の木村美海選手(つるぎ高・徳島、5m97<+2.2>)以下を圧倒しました。

U20年代ながら初日の成年女子5000mで上位を占めた田中希実選手(ND28AC・兵庫)、ダイヤモンドアスリートの髙松智美ムセンビ選手(名城大・大阪)が出場した成年女子1500mは、中盤まで2番手にいた卜部蘭選手(NIKETOKYOTC・東京)が終盤で首位に立っていた田中選手をかわして先頭に。3番手から追い上げた髙松選手を寄せつけることなく4分16秒36で優勝を果たしました。

 また、この日から“国体名物”ともいえる成年少年共通4×100mRが行われ、山縣亮太選手(セイコー)は広島の、飯塚翔太選手(ミズノ)は静岡の、小池祐貴選手(ANA)は北海道の、それぞれアンカーとしてトラックに立ちました。3チームとも順調に予選を通過。翌日に行われる準決勝に進出しました。

◎10月8日(月): 第4日


 秋らしい快晴となった大会4日目には、14種目で決勝が行われました。

 新記録がアナウンスされたのは、成年女子5000m競歩。スタートしてすぐにアジア大会20km競歩銅メダリストで大会記録保持者でもある岡田久美子選手(ビックカメラ・埼玉)が先頭に立ってレースを引っ張る展開となりました。岡田選手は1000mを4分17秒で通過。次の1000mも4分17秒で刻むと、ついていけるのは昨年この種目を21分33秒44のU20日本記録で制しているダイヤモンドアスリートの藤井菜々子選手(エディオン・福岡)だけに。しかし、岡田選手は4000mを17分05秒で通過したところでペースアップして藤井選手を突き放すと、最後の1000mを4分03秒でカバーし、その差を広げてフィニッシュ。日本歴代3位となる21分08秒97の大会新記録で優勝しました。藤井選手も最後までよく粘り、21分24秒40のU20日本新、大会新記録をマークして、2位でレースを終えました(藤井選手の新記録樹立コメントは、こちら)。


 成年男子110mHでは、6月の日本選手権で13秒36の日本新記録を樹立した金井大旺選手(福井県スポーツ協会・福井)が13秒46(+1.2)の大会新記録でフィニッシュし、開催地・福井県に待望の優勝をもたらしました。2位は前回覇者の増野元太選手(ヤマダ電機・福井)。シーズンベストとなる13秒50の大会タイ記録をマークしました。

 少年女子A100mHでは、予選で芝田愛花選手(恵庭南高・北海道)がU20日本歴代4位、高校歴代3位となる13秒42(+1.0)の大会新記録をマーク。インターハイを13秒34の高校新記録、U18日本新記録で制している小林歩未選手(市立船橋高・千葉)との対決に注目が集まりました。決勝は、序盤は芝田選手がリードを奪いましたが、終盤で小林選手が逆転して13秒13でフィニッシュ。2位の芝田選手も13秒31の好記録でしたが、追い風2.5mで、惜しくも参考記録となりました。

 少年男子共通三段跳では、荒木基選手(和歌山北高・和歌山)が高校生として3人目の16m台となる16m04(+1.9、高校歴代3位)をマークして優勝しました。少年女子共通三段跳は、4回目の跳躍でインターハイ2位の宮口愛子選手(星稜高・石川)が12m78(+1.6)を跳んで、この種目の高校記録保持者(12m96)でインターハイチャンピオンの河添千秋選手(松山北高・愛媛)に勝利。河添選手のインターハイ・国体2冠、さらには前日の少年女子A走幅跳との2冠を阻みました。

 また、混戦となった成年男子400mは、河内光起選手(近畿大・滋賀)がホームストレートで大逆転して46秒43で優勝。ダイヤモンドアスリートの井本佳伸選手(東海大・京都)が46秒61で4位に食い込んでいます。

 成年少年共通男子4×100mRは準決勝が行われました。山縣亮太選手(セイコー)をアンカーに擁する広島は2組に登場。山縣選手は5~6番手でバトンを受けると、観客がどよめく圧巻の走りを見せて2着(39秒80)でフィニッシュ。着順で翌日に行われる決勝に進みました。同じく2組に入った北海道は小池祐貴選手(ANA)を2走に配して臨みましたが、5着にとどまり決勝進出はならず。また、3組目には飯塚翔太選手(ミズノ)がアンカーを務める静岡が出場し、3着・40秒10でフィニッシュしましたが、0.01秒差で決勝を逃しました。
 

◎10月9日(火): 第5日


 大会最終日は、決勝4種目のみの実施。陸上競技場が総合閉会式会場となっている関係で、午前9時20分から競技が開始され、最終種目の成年少年男子共通4×100mRが午前10時20分にスタートする日程です。

 少年男子B3000mでは、ラスト1周を切ったところで2番手につけていた鶴川正也選手(九州学院高・熊本)がスパートをかけて後続を突き放し、8分23秒93で快勝しました。成年男子800mは、アジア大会代表で、全日本実業団を制している村島匠選手(福井県スポーツ協会・福井)が終盤で逆転して1分47秒45の大会新記録でフィニッシュ。福井県に2つ目の優勝をもたらしました。なお、この種目では、2位(1分47秒80)の梅谷健太選手(順天堂大・千葉)も大会新記録をマークしています。

 成年少年女子4×100mRは、滝田静海選手(東京高)、福田真衣選手(日本体育大)、広沢真愛選手(日本体育大)、髙橋真由選手(東京高)のオーダーで臨んだ東京が45秒12でV。東京は、成年少年男子4×100mRでも上野弘貴選手(東京高)、安田圭吾選手(大東文化大)、猶木雅文選手(大阪ガス)、一瀬輝星選手(八王子高)の走順で決勝に臨み、第4走での広島・山縣選手の猛追から逃げ切り、40秒00で優勝。昨年に続いて男女アベック2連覇を達成しました。山縣選手がアンカーを務めた広島は、40秒07・2位でのフィニッシュとなりました。


 総合成績は、大阪が昨年に続いて天皇杯(男女総合、166点)と皇后杯(女子総合、101点)とともに獲得。天皇杯の2位は千葉で127点、3位には京都と東京がともに116点を獲得。皇后杯の2位は東京が73点で続き、3位は北海道で59.25点という結果でした。

 

文・写真:児玉育美/JAAFメディアチーム

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