2018.12.07(金)その他

【日本陸連×実業団連合】中距離指導者研修会レポートその2



レポートその1【中距離指導者研修会】から

■実技:身体づくり、動きづくりのドリル 

◎ドリルを行うときの原則、留意点
・今回、紹介するのは、私のクラブで実施しているドリルの一部。私のチームには、800mや1500mだけでなく、長距離、マラソンの選手もいるが、種目を問わず、すべての選手が行っている。

・ドリルには、走練習やトレーニングの前に行うダイナミック(動的)ウォームアップ、ハードルを利用した股関節の可動域と柔軟性を高めるドリル、ランニングスキルを高めるドリルなどがあり、それぞれにたくさんの種類があるが、その日に行うトレーニングの目的に応じて実施する内容を選ぶ。私はハードルを使ったドリルが好きなので、柔軟性はこの方法を用いることが多いが、技術的な面に課題がある場合は、ランニングスキルを高めるドリルを多く取り入れてもよいと思う。

・多くのドリルは、技術的な要素がポイントとなるものが多い。しかし、我々はランナー。技術ばかりやっていても、走りにはつながらない。このため、走りに時間をかける必要があるので、技術的なトレーニングはできるだけミニマムにしたい。私は、トレーニング時間は45分を基本としているので、その時間内にできるよう、その時々に必要なものだけをピックアップして取り入れるようにしている。

・どのドリルを行う場合も、正しい姿勢をキープすること、正確な動きを心がけることが大切。

・指導者として心に留めておきたいのは、指導者はあくまで「語り手」で「主人公は選手」ということ。自分たちで考えさせることが大切。なので、あまり教えすぎないよう注意する。私は、できるだけシンプルに教えていきたいので、できるだけ選手が自発的に理解していけるようにすることを気にしながら指導している。ただし、全く練習の意図を考えない選手もいれば、0から100まで知りたい選手もいる。実際にどう指導するかは、その選手に応じて変える柔軟さも必要である。

【ダイナミックウォームアップ】
◎歩行で行うドリル(10m程度。左右交互に同じ回数行う。2~3種類を組み合わせて10mごとに変えて行ってもよい)
1)膝を交互に抱え込みながら前進

2)膝を曲げて引き上げた脚の股関節を回して前進

3)膝を曲げて引き上げた脚のつま先を、反対側の手でタッチして前進

4)引き上げる脚の膝を伸ばして振り上げ、そのつま先を反対側の手でタッチして前進

<1)~4)留意点>

・腰が落ちないように力を入れ、常に姿勢を意識する。
・力が外側に逃げないように意識する(力が内側に向くように意識すると、脚の筋肉のすべてを使うことができる)
・動きはコンパクトに(大きく動いて雑にならないようにする)。
・上げた足のつま先は下がらないように、常にかかとキープする。
・力は前方にかかるイメージ(後傾しないように)。

5)膝を伸ばした状態で足を踏み出し、かかと接地で前進

6)膝を伸ばした状態で足を踏み出し、つま先(拇指球付近)接地で前進

<5)~6)留意点>
・股関節を回すように動かすことで、両脚が自然と前に進んでいくイメージで。
・腰の位置を高く保つ。
・コンパクトに進んでいく(1歩を小さく)。

7)膝を伸ばした状態でかかとから接地した前脚のつま先を、背筋を伸ばしたまま腰だけ折るようにして上体を倒し(支持脚の膝は自然と曲がる)、反対側の指で触ることを繰り返しながら前進

<留意点>
・動的な柔軟性を高めることができる。伸ばした前脚の後面の筋肉と臀部の筋肉、背中の筋肉がよくストレッチされていることを意識する。
・背筋が丸まらないようにする。頭は上げて、やや前方を見る。
・両足のつま先は進行方向に向けて平行に接地させる。

◎ランジで行うドリル(各動きを6回ずつ行い、前進していく)
8)ランジウォーク:ランジで前方に歩行する

9)サイドランジウォーク:横向きでランジして進む

10)バックランジウォーク:後ろ向きでランジして進む

<8)~10)の留意点>
・進むことではなく、先に出す足を身体の真下につくことを意識して行う。
・踏み出す足は広く出しすぎずにコンパクトに。踏み込んだところでいったん動きを止める。地面に力を加えられるようコントロールして行う。
・上体はしっかり起こして前方に倒れないように注意する。
・できるだけ一直線上を進んでいけるようにする。

◎四つん這いで行う動き
11)両手両足を地面につけ、お尻を高く上げて腕・脚・背中を伸ばした姿勢で前進する。

12)山登り:両手両足を地面につけ、崖や山を登っていくようなイメージで、足を交互に手の付近まで引き上げて前進していく

13)11)+12)を行ったあとにジョグ

<11)~13)の留意点>
・11)は、かかとをしっかりつけた状態で前進する。接地している手足の近いほど、難度は上がる。
・12)は、崖を登っていくようなイメージで、股関節を大きく開いて脚を動かす。腰の位置が高くならないようにする。
・組み合わせて行う動き。11)と12)を続けて行い、最後にジョグする。ジョグは、膝を上げて走ることを意識する。

◎スキッピング
14)スキップ:スキップで前進する

<留意点>
・身体をリラックスさせて行うスキップ。膝をしっかり上げ、股関節を使って動かしていく。スキップでは接地の局面が大切。足を元の位置に戻すようなイメージで行う。

◎横方向への移動
15)サイドステップ:両手を上げ下ろししながら横向きでステップを踏みながら進む

16)キャリオカステップ:腰から動きをリードして身体を捻り、脚を後ろと前で交差させて横向きに進む

<15)16)の留意点>
・15)は、足以外はリラックスした状態で行うが、足がフラットに接地することを強く意識して行う。
・16)は前で脚をクロスさせるときはハードルをまたぐようイメージで。大きく進みすぎて動きが雑にならないように意識する。
・左右同じ回数を行う。15)は何回か行ったら身体を反転させる。16)は同じ位置を向いた状態で往復する。

◎後ろ方向へ移動
17)後ろ向きランニング

<留意点>
・後ろ向きに走る。動画を逆再生するイメージで行う。目線は前方に向けたままで、前向きに走るのと同じように腰の位置を高く保って姿勢に注意する。
・リズムよくできてくるとだんだんストライドを広げていくことができる。
・オレゴントラッククラブでは、ダウンとして使うことが多い。練習後に芝地の上で裸足になって行っている。

18)後ろ向きスキップA+腰を落としての後ろ向きスキップ

<留意点>
・後ろ向きにスキップAを行ったあと、両膝を曲げて腰の位置を少し落とした姿勢で後ろ向きにスキップする。
・目線はどちらも前方に向けたままで行う。
・スキップAのときは、膝を高く上げる。上げた脚のかかとが身体の後ろに行かないように留意する。

【ハードルを用いた股関節の可動性を高めるドリル】
<ハードルドリルを行う際の留意点>
・ハードルを用いたドリルを行うときは、姿勢を意識することが非常に大切。身体が1本の棒であるようなイメージで(軸をつくって、それがぶれないように)動かす。
・一直線上を進んでいくことを心がける。ハードルの中央部を、直走路のレーン上にくるように設置すると、まっすぐに進めているかが自分で把握できる。
・全身に力を入れた状態で行う。
・支持は必ず片足で行い、両足が接地する局面をつくらない。また、接地していない足のつま先は上げた状態で行う。
・接地している側の脚は、腰の位置を高く引き上げて膝を伸ばす。また、かかとを浮かせた状態で身体を支持してドリルを行う。

19)抜き足連続動作:ハードル6台をつなげるように並べ、ハードルの抜き足動作でまたぎ前進する

<留意点>
・ゆっくりと正確に行うことを目指す。
・上体をしっかり前に向ける。全身を使って行う。

20)1歩ステップを踏んでのハードルまたぎ:ハードルを3.5足長の間隔に6台設置。ハードル間で1歩ステップを入れて、リード足動作(まっすぐに膝を上げてまたぐ)→抜き足動作(股関節を開いてまたぐ)を行い越えていく。

<留意点>
・股関節から大きく動かして、足をしっかりと引き上げる。ハードルにぶつけない状態を保つことを意識する。
・リード足を左右交互に行い、どちらも同じ本数行う。左右差をつくらない。


【ムーブメントスキル(ランニングドリル:10~20m程度の距離で実施)】
21)踏みつけ動作:足裏で地面を踏みつけるようにして前進する

<留意点>
・両足は、進行方向にまっすぐ向けた状態で行う(内向き、外向きにならないように)。
・1歩を大きくしない。速く進むことでなく、設定距離内で何歩刻めるかを意識する。
・かかとを常に、前へ前へと進めていくイメージで行う。
・接地のときの感覚に意識を置いて行う。
・腹筋に力を入れる。
・姿勢は、腰の位置を高く引き上げ、背筋を伸ばす。腹筋に力を入れて、その姿勢を保った状態で行う。
・目線は先方へ。下を向かない。
・腕の動きでバランスをうまくとり、リズムよく前進する。


22)膝を伸ばしてのステップ:お尻から脚を持ち上げるようなイメージで膝を曲げずに交互に上げ、接地して前進する

<留意点>
・接地した短い瞬間で、地面をしっかり押して前に進むことを意識する。
・接地した際の足音をよく聞き、短く叩くような音を目指す。
・動きが大きくならないようにコントロールする。上げるほうの足はあまり高く上げない。
・上げた脚の足先は、つま先を上げた状態を保つ。
・頭を上げて10~15m先を見るイメージをキープ。足元は見ない。

23)膝を伸ばしてのステップのバリエーション:3歩目に膝を曲げてかかとを引き上げる動作を組み入れて進む

<留意点>
・膝を伸ばしてのステップ動作で2歩進み、3歩目に膝を曲げてかかとを引き上げることを繰り返す
・3歩目は、ハードルをまたぐイメージで、まっすぐにかかとを引き上げる
・速く動かすことを意識するが、動きが大きくなって雑にならないよう気をつける。動きはできるだけコンパクトに行うことを意識する。

24)膝を伸ばしてのステップ→片脚のみかかとの引き上げ動作:最初の数歩は膝を伸ばしてのステップを行い、途中から、一方の脚のみ膝を曲げてかかとを引き上げる動作を行って前進する

<留意点>
・大きく進んでしまうと、接地が難しくなるので、できるだけコンパクトに動く。
・膝を曲げて、引き上げる脚は、ハードルをまたぐイメージで行う。
・離地した脚のかかとは、後方へ残さず、前へ前へと動かしていく。
・正確な動きでできることを常に意識する。丁寧に、辛抱強く行う。

25)ムーブメントスキル→ミニハードルラン→ランニング

<実施方法>
・ドリルの最後、走練習の前に行う。技術的なポイントを、実際の走りに生かしていく。
・スタートから10m地点にマークを置き、15m地点から10台ミニハードル(マイクロハードル)を置く。ミニハードルは、1~4台目の3区間は3足長で、その次の3区間を3.5足長で、残りの3区間を4足長に設置する(これはスピードが高まるにすれてストライドが広がることを想定してのもの。選手に応じて調整する)。
・最初の10mを、膝を伸ばしたステップ(22)で進み、次の5mでハイニーを行って走りの動きに切り替えて、その後、ミニハードル間を走り抜けて、そのままランニングへ移行する。

<留意点>
・最初の10mでできるだけスピードを上げることがポイントとなる。その後、ハイニーを経てランニングへ。ミニハードルの区間に入ってからも、ドリルで意識した正しい姿勢をキープして、走り抜ける。
・この動作は、「速く」が目的。ハードル間は膝を上げて越えていく。とにかく「速く、速く」を意識し、ハードル区間を過ぎたあともさらに加速していくイメージで走り抜ける。膝の位置を高くして、スピードよく走る。
・ミニハードル間では前傾したり後傾したりしないように、しっかりと姿勢をキープして走ることに留意する。
・接地局面を意識することが大切。しっかり地面に力を加えていることができていれば、スピードが高まるとともにストライドも広がって前に進んでいく。この点に注意して行う。

【ダウン】
26)芝地を裸足でジョグ→後ろ向きのジョグ→後ろ向きのランニング等

27)ストレッチング


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