2019.06.18(火)大会

【第103回日本選手権】展望:男女ハードル



◎男子110mH

今季、最高に面白くなっているのが男女スプリントハードル。ともに日本記録更新はもちろんのこと、複数選手による激しいバトルが期待できる。男子110mHは、金井大旺(ミズノ)、高山峻野(ゼンリン)、泉谷駿介(順天堂大)が3強、これに石川周平(富士通)がどこまで絡めるかといった状況だ。

金井はご存じの通り、昨年のこの大会で、13秒36の日本新記録を樹立して初優勝(当時の所属は福井県スポ協)を果たした。セカンドベスト(当時)の13秒45をマークして、これに続いたのが2年連続3回目の優勝を狙っていた高山で、昨年のアジア大会、今年のアジア選手権、世界リレー(男女混合シャトルハードルリレー)は、この2人が日本代表を務めてきた。





そんななか、今季に入って目覚ましい躍進を見せたのが泉谷だ。泉谷は2017年度のインターハイ八種競技チャンピオン。走幅跳・三段跳でも将来を期待されるなか順天堂大1年目の昨年は、ハードル種目、なかでもU20規格の110mHで著しい成果を残していく。U20世界選手権で銅メダルを獲得すると、U20日本選手権では、従来のU20日本記録を大幅に更新する13秒19(-0.6)のU20日本新記録を樹立したのだ。一般規格の110mHでも、1.1mもの向かい風のなか13秒75をマークして日本インカレで優勝するなど、潜在能力の高さは折り紙つきではあったが、今年に入ってからは4月14日にU20日本最高記録で学生歴代4位となる13秒55をマークしたのを筆頭に、13秒5台を連発。金井、高山との直接対決となったGGPでは2.9mの追い風に乗って13秒26を叩き出し、先輩2人をノックアウト。一躍、「注目の人」となった。

しかし、話はここで終わらない。6月2日の布勢スプリントA決勝で、今度は高山が13秒36(+1.9)でフィニッシュ。金井の日本記録に並んだのだ。このレースでは、泉谷同様に今季自己新を連発してきた石川も、13秒49まで記録を縮めている。

この種目の世界選手権標準記録は13秒46で、現段階で金井と高山が突破済みの状況だが、気象条件さえ整えば、泉谷、石川も日本選手権で切ってくるだろう。優勝争いが、日本記録を上回る13秒32の東京五輪標準記録を凌ぐ戦いになる可能性も十分にある。金井と泉谷は前半でリードを奪って、そのまま逃げきるタイプ。一方、高山と石川は終盤でぐんぐんと追い上げていくタイプ。対照的なレースパターンを見せる選手たちが繰り広げるスピード感あふれる競り合いは、ハイハードルの醍醐味を存分に味わわせてくれるはずだ。




◎女子100mH

女子100mHは、木村文子(エディオン)が好調だ。アジア選手権では予選を13秒19(+1.9)、決勝では13秒13(+1.3)をマークして、金メダルを獲得。その後も、第1走を務めた世界リレー(男女混合シャトルハードルリレー)でハードル王国アメリカを相手に遜色のない走りを披露、翌週行われたGGPでは公認のシーズンベストとなる13秒11(+0.4)をマーク(日本人トップの6位)した。そして6月2日の布勢スプリントでは追い風参考ながら13秒01(+3.5)で快勝と、安定した結果を残している。日本記録は13秒00(2000年)、世界選手権標準記録は12秒98。これらをクリアしたうえで、日本女子初の12秒台ハードラーの称号と、6回目の日本一の座を手に入れたいはずだ。

木村を追うのは、昨年、初優勝を果たした青木益未(七十七銀行)、大会記録保持者(13秒02)で2度の優勝経験を持つ紫村仁美(東邦銀行)、向かい風0.4mのなか、それまでの13秒31から一気に13秒14まで自己記録を更新してきた福部真子(日本建設工業)といった面々。さらに、春先から毎レースで自己記録を更新し、学生歴代2位タイとなる13秒22まで躍進している田中佑美(立命館大)や追い風参考となった関東インカレで好走した藤森菜那(明治大、DA修了生)、小林未歩(筑波大、DA、高校記録保持者)、布勢スプリントで追い風参考ながら13秒10(+3.5)をマークして木村に続き2位に食い込んだ清山ちさと(いちご)など調子を上げている者が多い。気象状況にもよるが、決勝進出ラインは大幅に引き上げられることだろう。

また、2009年世界選手権代表の寺田明日香(パソナグループ)が結婚・出産、7人制ラクビー競技への挑戦を経て、春から6年ぶりに復帰。13秒19(-0.4)まで調子を戻している。他競技も経験しながらの肉体改造で、持ち味の「鋭さ、速さ」に「力強さ」が加わった。それはメンタル面でも同様のことがいえる。バージョンアップして挑む新たなステージに注目したい。




◎男女400mH

男子400mHは、この春からヤマダ電機所属となった安部孝駿が、この日本選手権で国内初戦を迎える。安部はアジア選手権こそ5位にとどまったが、その後、上海DL(ダイヤモンドリーグ、50秒27、6位)、IAAFワールドチャレンジ南京大会とアジアを転戦。南京では世界選手権標準記録49秒30を突破する49秒16をマークして優勝を果たした。その後、ヨーロッパに渡って6月6日のローマDL、6月13日のオスロDLを連戦。ローマDLは400mHがダイヤモンドレースではなかったものの49秒57・3位でフィニッシュ。急きょ出場が決まって臨んだオスロDLでは49秒78で5位の成績を残している。日本選手権では2回目の優勝と東京五輪標準記録(48秒90)突破は最低限の課題として臨んでくることだろう。

今季好調で、安部に続くとみられるのが関東インカレを49秒25で制した豊田将樹(法政大)。静岡国際で4年ぶりに自己記録を更新して49秒台(49秒94)突入を果たすと、GGPでは50秒38で優勝、そして翌週の関東インカレで世界選手権標準記録を突破して勝利をつかみ、上昇機運に乗った状態で日本選手権を迎えようとしている。レース終盤の安定性が光るタイプで、安部との対戦によって、日本選手権でさらに記録を上げてくる可能性もある。

故障からの完全復帰を目指す野澤啓佑、松下祐樹(以上、ミズノ)も、来年の東京五輪を考えると、今年はぜひとも世界選手権には出場しておきたいはず。昨年4年ぶりに5回目の優勝を果たしたベテランの岸本鷹幸(富士通)は、ケガの回復が間に合うか。これらの選手は、万全の状態で臨むことができれば、49秒30は決してハードルの高い記録ではないはずだ。





女子400mHは、昨年、宇都宮絵莉(長谷川体育施設)が初優勝。“本業”の七種競技より先に日本一となった。その後、宇都宮は日本代表としてアジア大会(7位)、コンチネンタルカップ(8位)に出場。アジア大会では“マイルリレーメンバー”として女子4×400mR、男女混合4×400mRの3走も務める(ともに5位)など大車輪の活躍を見せた。今季も4月のアジア選手権(4位)、静岡国際(3位)、木南記念(優勝)、GGP(5位)と春先の試合は400mHを中心に臨み、木南記念で今季日本最高となる57秒05をマークしていている。現段階では、その木南記念で日本歴代3位の56秒84をマークした昨年ほどの勢いはないが、日本選手権混成と日本選手権が連戦となった昨年に比べると、今年は3週空けての開催ということもあり、準備に十分な時間がある。七種競技では47点差で優勝を逃す惜しい結果となったが、その悔しさを力に変えて、連覇に挑もうとしている。

優勝争いが57秒台前半で争われることになるようだと、今季57秒45まで記録を伸ばしてきている小山佳奈(早稲田大)や、宇都宮同様に七種競技で活躍し、400mHでも今季4年ぶりに自己記録を0.20秒更新する57秒61をマークしている伊藤明子(筑波大)ら学生陣が優勝争いに絡む可能性もありそうだ。


※記録、競技会の結果は、6月15日時点の情報で構成。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォートキシモト

■第103回日本陸上競技選手権大会

2019年6月27日(木)~30日(日)福岡市博多の森陸上競技場
チケット絶賛発売中!
https://www.jaaf.or.jp/jch/103/


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