2023.08.25(金)大会

【ブダペスト世界陸上】5日目イブニングセッションコメント:女子5000m・田中希実が14分37秒98の日本新記録で決勝進出!



Day5:8月23日(水)イブニングセッション

ブダペスト2023世界選手権大会中日となる8月23日のイブニングセッションは、決勝4種目と準決勝1種目、そして、気象状況の影響で午前中からスライドした女子5000mを含む予選4種目が行われ、日本勢は、女子5000mと女子三段跳の各予選に5名の選手が出場しました。
素晴らしいパフォーマンスを見せたのは、女子5000mの田中希実選手(New Balance)です。2組8着の決勝進出条件で行われた予選の2組に入った田中選手は、800mからマラソンまでトップクラスの実力を持つシファン・ハッサン選手(オランダ)がリードする先頭グループでレースを進めて最後まで粘りきり、14分37秒98でフィニッシュ。東京オリンピック女子5000m決勝で廣中璃梨佳選手(JP日本郵政G)が樹立した14分52秒84の日本記録を約15秒更新する14分37秒98をマークして6着でフィニッシュ。1000m(2分37秒33)、1500m(3分59秒19)、3000m(8分40秒84)、1マイル(4分28秒94)に続いて5000mでも日本記録を保持することになったのです。この結果、パリオリンピックの参加標準記録(14分52秒00)も突破。この種目では、2019年ドーハ大会(14位)、2022年オレゴン大会(12位)に続いて、3大会連続で決勝に駒を進めることとなりました。
女子5000mの予選1組には、10000mで7位入賞を果たした廣中選手、アジア選手権で金メダルを獲得した山本有真選手(積水化学)も出場。廣中選手は15分11秒16をマークしたものの12着、山本選手は16分05秒57で20着でのフィニッシュとなりました。
女子三段跳予選には、アジア選手権で1・4位の成績を残した森本麻里子選手(内田建設AC、日本記録保持者14m16)と髙島真織子選手(九電工)が、ともに世界選手権初出場を果たしました。森本選手は1・2回目をファウルとなって迎えた3回目で13m64(-0.3)をマーク。髙島選手は13m34(-0.3)の記録を残しましたが、どちらも予選敗退となりました。


<8月23日:イブニングセッション競技後コメント>

◎廣中璃梨佳(JP日本郵政G)

女子5000m 予選1組12着 15分11秒16 =シーズンベスト



当初、5000mの出場は予定していなかったが、去年の悔しさを晴らしたいという気持ちもあったので(出場が決まって)チャンスをつかめたと思って、今日のレースに臨んだ。レースの時間が変更され、当初は暑さの影響でスローペースになるかと考えていたのだが、途中からハイペースとなった。そのなかで集団についていき、ラストで切り替えて、まずは(決勝進出ラインとなる)8着以内でフィニッシュすることを考えていた。しかし、なかなか後半が伸びず、ラスト100(m)とかは本当に地に足がついているかわからない状態になってしまった。そこでも順位を落としてしまったこと、決勝に残れなかったことが悔しい。
レースでは1人が飛び出すような展開となったが、自分は冷静に後半のためにタメをつくろうと思って走った。(1日目の)10000mのとき、自分のスタイルではない初の挑戦をして、どういう疲労度が出るかを見たが、翌々日に思っていた以上の筋肉痛が出て、少し焦りがあったなかで昨日・今日を過ごした。アップや流しでも、本来のバネがなかなか感じられない走りで、不安な思いがあった。そのなかで食らいつきながら走ったが、2種目をやる難しさを肌で感じた。
ただ、直前の合宿中に5000mで選ばれたことを聞いて、すごく嬉しかったことを鮮明に覚えていて、このレースでは、その嬉しさがあるまま、純粋な気持ちで走ろうと思った。(レースそのものは)楽しい走りという感じにはならないが、世界陸上自体を2種目楽しもうという気持ちで意気込んでやってきた。
パリに向けて、また2種目に挑戦し、決勝で戦いたい。あのきつさをもう一度、オリンピックの場で感じたいと強く思う。


◎山本有真(積水化学)

女子5000m 予選1組20着 16分05秒57



日本の大会もたくさんやって、アジア選手権も経験して、自分では段階を踏んでこられたと思っていたはずだったが、やはり世界となると全部が違った。レース展開も、何もかもが全然違っていた。
ここに向けてしっかり練習も積めていたし、ベストを出せるという自信もあって、楽しみな気持ちで走ったのに、楽しみだけでは通用しないという感じ。自分の走りが全くできなくて、タイムも納得できなくて、すごく悔しく思う。
予選を通過するのは自己ベストを出しても高いラインだったので、この試合では、しっかり勝負して、経験を積んだり、いろいろなことを学んだりしようと思っていたのだが、勝負する隙もなかったというか、レースの流れに乗ることもできなくて、「何しているんだろう」という走りになってしまった。しかし、この大会に出るのは誰でもできることではないし、この緊張感や大会の雰囲気を味わえたことは無駄にしたくない。皆さんから求めれる結果でもなかったし、自分の求める結果でもなかったが、自分のなかでは次のアジア大会や来年のパリオリンピックに向けていい経験になった。
競り合いもあって、自分のいい位置についていこうと思っていたのだが、きついと思う前の段階でスピードの違いで離されてしまった。体力どころかスピードも全く違って2000(m)もつけなかったので、前を行く廣中ちゃんを含め、外国人の皆さんの背中がどんどん離れていくのを見て、「あの景色は忘れないようにしたいな」と思うし、今はすごい不甲斐ないけれど、この結果があったからこそ、次の結果があると言ってもらえるような結果を出したい。


◎田中希実(New Balance)

女子5000m 予選2組6着 14分37秒98

=日本新記録、パリオリンピック参加標準記録突破、決勝進出



(シファン・ハッサン選手が先頭を引っ張る形になって)思いがけないペースメーカーだったが、今日は、前の組(1組目)でラトビアの選手が(単独で先頭を)行っていて、「一人でも迷いなく行くというのも一つのプランだな」という新しい発見があったあとにスタートラインに立っていた。でも、「全員が、誰も飛び出さなかったどうしよう」「スローになったらどうしよう」と不安があったなか、そこでハッサン選手が出て、ハッサン選手も1500(m)を終えたあとなので、そこまで急激なことはしないんじゃないかなという希望があり、迷いなくつくことができた。14分37秒98は、そういうことがあったから出たタイム。世界で戦えるかというレース展開のところでの強さは、1500mの教訓もあるのでまだないかなと思うけれど、タイムとしての実力は、今の100点満点を見せることができたし、自分でも見ることができたので良かったと思う。
14分30秒台というのは、初めて世界陸上に出て15分切るか切らないかというところにきたとき(2019年ドーハ大会)、「来年こそは14分台だったり、(14分)40秒台だったりにすぐ行くんじゃないかな」と思っていた。実際には、そこからなかなか切ることができず、年々自分の理想値ばかりが上がっていて、去年、一昨年くらいからは理想としてはずっと14分30秒台というのが(頭に)あった。かけ離れていた理想と実際がやっと合致したという心境である。
<記録が出たことと、決勝に進めたことを、どう受け止めているか、の問いに> 決勝に残れたことのほうが嬉しい。走りながらも、「このままラスト1000mですごく失速して3分10秒とかかかっても、日本記録だな」と思っていたのだが、「でも、そうなると着がとれないし、そういう日本記録は嬉しくないな」と思いながらラスト1周を通過し、「最後まで、意地でも今より順位を落とさない」ということを意識して走った。それでも順位は落としてしまったので、その点はまだまだだが、ただ、そこまで失速せずに食らいつけたので良かった。
決勝進出は、3大会連続になるが、今まで入賞できたことがないので、入賞を狙っていきたい。また、今日とは違った展開になる可能性が高いので、だからこそ、今度はどこまで勝負できるか。(通過しなければならない)予選と違って決勝は、勝負になったときに負けてもいいという気楽さがある。チャレンジといった気持ちを持ってスタートラインに立ちたい。


◎森本麻里子(内田建設AC)

女子三段跳 予選A組15位 13m64(-0.3)



助走の出だしで丁寧に6歩押すところがちょっと速くなってしまったことが、2本ファウルしてしまった原因なのかなと思う。いつもこの6歩を、膝とお尻まわりをしっかりと足の甲にぐっと押していくことを意識しているのだが、自分ではしっかり押せているつもりだったが、少しかすっていたのかもしれない。コンディション的には良かったのだが、そうした細かい動きのところが噛み合わなかったと思う。
去年(のオレゴン世界選手権)は、あと一歩のところで(出場に)届かなくて、そこがすごく悔しかったので、こうやって今日を迎えられたことは本当に嬉しかったし、ほかの競技会とは全然違う世界選手権の雰囲気を楽しむこともできた。でも、出るだけではなくて、結果を残したかったという思いが今、とても強い。
今日は、3本以内にしっかり自己ベストを出すことを狙っていたし、それができれば決勝に残ることもできるかもと思っていた。こういうときに、それをしっかりできるようになるために必要なのは、再現性の高さと経験なのかなと思う。しっかり反省して、今後に生かしていきたい。
競技中は冷静で、ファウルした跳躍のどこが良くないのかも、自分でわかっていた状態で、コーチの森長(正樹)さんと話して、修正を試みていた。特にアップはけっこう良かったので、冷静に行けば、自己ベストも行けるかなという感覚はあったのだが…。まだ映像を見ていないので、しっかり見て、動きを確認したい。
この悔しさは、パリオリンピックでしっかり晴らしたい。そこで戦うためには、もっと経験も必要になってくる。もっとレベルの高い試合に出られるように、自分の持ち記録を上げていくことも大切になってくると思うので、ベストもしっかり更新していきたい。


◎髙島真織子(九電工)

女子三段跳 予選B組17位 13m34(-0.3)



自分がこの舞台に立ってどう思うかは想像できていなかったのだが、意外と冷静に、すごく楽しむといった感じで、会場の盛り上がりをプラスにすることができた。しかし、動きのなかで、助走から踏み切り~跳躍と噛み合わない部分があって、そこはアジア選手権くらいから、修正できていなくて、そのまま来てしまっていたのだが、今回もあまりいい結果にはならなかった。
アジア選手権のころ痛めていた足は、その後、しっかり休んで、そこは治っている。しかし、痛めたときのクセが残ってしまっている。動きが噛み合わなくなっているのは、そこにも原因があるかもしれない。具体的には、飛びだしからのホップのところで大きく脚を使えるのが私の持ち味なのだが、そこで腰も乗らず、動きが小さくなってしまっている。ホップをもう一回見直さなければ…という感じである。
初の世界大会だが、緊張は全くしなかった。びっくりです(笑)。楽しかった。もともとあまり緊張しないタイプなのだが、今回はそれも加えて森本(麻里子)さんもいたので心強かった。チャレンジャーの気持ちで思いきり行こうと思って、今回は臨めた。結果は悔しいけれど、本当に楽しかった。
今回の経験で、まだすごく先のことになるとは思うけれど、「決勝の舞台で戦いたいな」ということが、まず、そこが大きな目標としてできた。あと、今シーズンは、アジア選手権が終わるまで、この舞台に立てると想像できていなかったので、アジア選手権にピークを合わせる形となった。来年はしっかりパリ(オリンピック)に向けて調整していくことをしていきたい。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト



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