2023.08.25(金)選手

【ブダペスト世界陸上】6日目モーニングセッションコメント:35km競歩・川野将虎がメダル第1号!2大会連続メダル獲得!野田明宏、園田世玲奈が世界大会で初入賞!



Day5:8月24日(木)モーニングセッション

ブダペスト2023世界選手権は、いよいよ後半の日程に突入。8月24日のモーニングセッションでは、英雄広場を発着点とするコースで、男女35km競歩の決勝が行われました。スタートした午前7時の段階では、気温22℃、湿度81 %の条件下でしたが、競技終了時点の10時25分ごろには、気温は28℃、湿度60 %に。強い日射しが降り注ぎ、気温以上の体感温度となるなかでの戦いとなりました。
男子は、前回のオレゴン大会で優勝と1秒差で銀メダルを獲得している川野将虎選手(旭化成)が、今回もメダル圏内でレースを展開。終盤で20km競歩を今季世界最高で制したÁlvaro MARTÍN選手(スペイン)、同じく20kmを自己新で7位となったBrian Daniel PINTADO(エクアドル)から後れる形となりましたが、最後まで粘りきり、シーズンベストとなる2時間25分12秒をマークして3位でフィニッシュ。日本チームとして、今大会メダル獲得第1号になるとともに、2大会連続でのメダル獲得を果たしました。
日本勢2番手は、前回のオレゴン大会で、入賞まであと一歩となる9位の成績を残していた野田明宏選手(自衛隊体育学校)。2時間25分50をマークして6位でフィニッシュし、2017年ロンドン(50km)、2022年オレゴン(9位)に続く3回目の挑戦で、初入賞を達成しました。2017年ロンドン大会の50kmで4位入賞の実績を持つ丸尾知司選手(愛知製鋼)は、序盤は上位を窺う位置でレースを進めていましたが、ロス・オブ・コンタクトで2回の警告が出たことで、計画していた終盤のペースアップができない状況となり、13位(2時間29分52秒)でのフィニッシュとなりました。
女子は、4月の日本選手権でこの記録でも日本記録をマークしていた岡田久美子選手(富士通)が、直前に腰椎捻挫で欠場することが発表され、園田世玲奈選手(NTN)と渕瀬真寿美選手(建装工業)の2人が出場しました。前回オレゴン大会で、男子の野田選手と同様に9位でのフィニッシュで入賞を逃していた園田選手は、序盤から入賞ラインで着実にレースを進め、念願の7位入賞(2時間46分32秒)を達成。2009年ベルリン大会20kmで6位に入賞した実績を持つ渕瀬選手は、世界選手権では20kmで4回、50kmに1回出場している実力者。35kmでの出場も果たした今大会では、2時間52分57秒の自己新記録をマークし、14位の成績を残しました。


<8月24日:モーニングセッション競技後コメント>

◎川野将虎(旭化成)

男子35km競歩 決勝3位 2時間25分12秒 =シーズンベスト



今大会に臨むに当たっては本当に苦しい道のりだった。2月(20km)、4月(35km)の日本選手権は、個人的には惨敗の結果に終わるなど、なかなか思うように行かないことが続いた。そんななか、(酒井)瑞穂コーチはじめ多くの方々の支えのおかげで、最高の状態でスタートラインに立つことができた。また、みんなで積み上げてきた今までの取り組みが正解だったことを証明するために、今回、メダル獲得を目指して勝負した。去年、初めて(銀)メダルを獲得したが、2大会連続で勝負をして、メダルを取り続けることの難しさは、身に沁みて感じていたので、今回のテーマとして、メダルの獲得を目指した。それが2大会連続でできたことは、本当の価値のあることだと思う。
20kmのレースを見て、(35kmにもエントリーしている選手に)スピードのある選手が多かったので(35kmのレースにおいても、1km)3分台のペースアップも想定しないといけないなと思っていた。3分40秒台のスピードにアップしても対応するだというくらいの気持ちで準備してきた。
最初は落ち着いて、まずは後半に向けて、自分の歩きや身体を整えて、最後の勝負所で勝負するんだと思いで行った。(13kmを過ぎてフランスの選手が飛び出したときは)まずは様子を見て、ほかのベテランの選手と一緒にレースを進めたいなと思い、特につくことはしなかった。(終盤で集団が絞られて)メダル争いになったところでは、ここからこの集団にぎりぎりまでついて、メダルを絶対に獲得するんだという気持ちで歩いた。上位2選手に離されて、後ろからダンフィ選手(カナダ)が追ってくる展開になったが、スタミナには自信があったので、最後はフォームを意識して、「確実にメダルを取るんだ」ということを目標に歩いた。
ここまでの状態としては、2月、4月からは徐々にコンディションも上がり、良い練習ができていた。フォームに関しても、スタノ選手(イタリア)などヨーロッパ勢の選手を参考に、「グレーのない動き」を目指して取り組んできた。今回、途中で注意がついてしまい、最後は上げきることができないレース展開になってしまったが、今後さらに磨きをかけていきたい。
今回、20km競歩の選手――山西(利和)選手、池田(向希)選手といった本当に強い選手もなかなか結果が出なかったなかで、「このままでは終われない」と思ったし、これまでたくさんメダルをつないできた日本の競歩を、自分がつないでやるんだという気持ちで臨んだ。
<20kmで活躍した選手が、35kmでも活躍しているが、その点をどう思うか、との問いに> やはり35kmもスピードが必要だと思ったし、さらに来年(のパリオリンピック)に関しては(35kmの種目がないために)僕も、今回20kmで上位となった選手を相手に、20kmで勝負をしなければならない。パリ五輪は20kmで勝負をするつもりでいるので、これからその準備をしていきたい。
今までやってきたスタミナ練習の取り組みとフォームというのは、今回のヨーロッパ勢の動きを見て、間違っていなかったなと再認識できた。来年に向けては、今までの取り組みをベースに、さらに上乗せしてスピード練習を行っていきたい。日本の今の強い競歩は、今村(文男)部長(日本陸連シニアディレクター)など歴代の競歩の方々がつないできてくださったものが、僕たちに還元されていること。そういったことに感謝して、その感謝の気持ちを込めて、(自分が)メダルを獲得することで、(次の世代へ)つなぎたい。


◎野田明宏(自衛隊体育学校)

男子35km競歩 決勝6位 2時間25分50秒



昨年、入賞できなかったところで、今回まず入賞できたということで、一つステップアップしたかな、と。ただ、事前にコーチの谷井(孝行)さんと話していたメダル争いのところでしっかりレースは進めることができていたのだが、ラストのスパート合戦で置いていかれていることを考えると、まだ力不足を感じる。谷井さんとも、レース展開をしっかり見てメダル争いをしながら、もし、(そこから後退して)入賞争いになった場合も、そこでしっかり戦えるようにするということをいわれていた。メダル争いから大きく離されたあとは、入賞圏内で確実にレースを進めることに設定を変えて、しっかりできたことは成長できたところだが、やっぱりまだまだ…川野(将虎)選手もそうだし、世界との差を痛感する結果となった。
<その世界との差はどこにあると考えるか、の問いに> スピードもスタミナも、たぶんトップ選手とほとんど変わりはないと思うのだが、序盤や中盤のレースのつくり方や進め方、身体の余裕をどれだけ残して後半に持っていくかというところの部分で劣っていたのかなと思う。給水もちゃんととれていたし、体調もよかった。また、スピードなどの部分も、(前回の)オレゴンから、谷井さんとかなり突き詰めてきたので、そのあたりは申し分なかったと思うのだが、やはりレースの進め方に差があったのかな、と。もっと余裕の持った動きや安定感を身につけていかなければならないのかなと思った。本当に小さなところだと思うのだが、それが30kmまでに積み重なって、それが最後の5kmで出てしまったのだと思う。
そうした点は、また今回のレースを振り返り、国内のレースでしっかり確認していければと思っているのと、来年は35kmがないので、20kmという種目で勝負しなければならないことを考えると、もっとペースが上がると思うので、そのなかでしっかり対応できるように準備していかなくてはならないと思っている。


◎丸尾知司(愛知製鋼)

男子35km競歩 決勝13位 2時間29分52秒



警告を2枚もらってから、戦略が立てられなくなって、そこからどうしようもなくなってしまった。力的には全然エネルギーが残っていたので、非常にもどかしかったのだが、警告を2枚もらうことは滅多にないので…。本当に想定外という感じ。(原因として)唯一考えられるとすれば、6月に20日間くらいケガをしていたことだが、それ以外は暑さ対策も含めてしっかり準備をできていた。6年前(のロンドン大会)で実現した「3人入賞」が、自分(が13位だったこと)でできなかったことがすごく悔しい。
(展開としては)前の集団がメダル争いで必ずばらけてくるというのがわかっていたので、自分のペースでレースを進めていき、後半の10kmでペースアップすることを考えていたのだが、自分の動きを制御できず、警告をもらってしまった。そのために、後半でペースアップすることができず、力は残っているので、ずっとブレーキを踏みながら歩いているような感じになってしまった。こうした状態になるのは初めての経験だった。
<世界選手権の舞台に戻ってこられたことをどう思うか、の問いに> そこに関しては、ここに立つまでも大変だったので、非常に嬉しい気持ちがある。家族も来てくれたし、感謝の気持ちでいっぱい。まあ、ここから先もまた大変だが、もう一回チャレンジしたいと思っている。
パリ(オリンピック)は種目が20kmとリレーになるので、久しぶりに20kmにチャレンジしていくことになる。チームジャパンで、みんなでまた強くなっていけるように、協力して頑張っていきたい。


◎園田世玲奈(NTN)

女子35km競歩 決勝7位 2時間46分32秒



去年のオレゴン世界陸上では、9位という順位がとても悔しくて、その悔しさをもう一度、今大会でリベンジするんだという思いが強かったので、この1年間、しんどいこともいっぱいあったが、そのしんどさを忘れるくらい今日入賞できたことがとても嬉しい。
スピード化している状況のなかで、速いペースになることはわかっていた。前半から積極的に行かないと、後半は暑さで粘るレースができなくなると考えた。やってきたことに自信を持って、1つでも上へ上へと粘りあるレースを目標に頑張った。
集団から離れたのは、速すぎたから。自分がそこについていくと、後半の落ちにつながってしまうと考えた。そこは最低限のキープはできたと思う。(入賞ラインとなる)8番は、最低限意識していたので、そこを最低ラインに粘るレースで必死に耐えた。
長い6位争いとなったが、(チームスタッフから)どんどん後ろから来ていることも、順位も言っていただいていて把握していた。自分が(ペースを)上げるのは厳しくも維持することを目標に、練習でやってきた粘りのレースで最後まで耐えた。
<昨年から、一番自分が変化したところは、の問いに> 昨年、初めて「世界」を経験させてもらったことが大きいと思う。今年に入ってからも6月にラコルーニャ(スペイン)での試合に挑戦させていただいたり、7月にはアメリカのボルダーで3週間の合宿も経験させていただいたりした。なかなか慣れない環境でもあって、しんどいこともあったが、そのなかでしっかり調子を上げて練習ができていたので、そういう意味では戦うための準備がしっかりできていたと思う。
来年のパリ(オリンピック)は20kmかリレーで出場を目指すことになる。20kmでもリレーでもスピードが求められる部分では変わらない。どちらでも代表権を獲得できるように、しっかり勝負していきたい。


◎渕瀬真寿美(建装工業)

女子35km競歩 決勝14位 2時間52分57秒 =自己新記録



今大会では、(2時間)50分を切りたいと思っていたのだが、届かなかったことが残念。練習はしっかり積んでくることができ、自己ベストは出せるという自信を持って臨むことができていた。レースは、「4分50秒ペースで押していこう」という考えでスタートし、ちょうど第2グループで進むことができたので、力を使わないようにリラックスを心掛けてついていった。しかし、やはり中盤でペースが上がってきたところで対応できなかった。そこがまだまだ改善するところだと思う。
順位については全然考えていなくて、2時間50分を切れば、ある程度のところが見えてくるのかなと思い、タイムを意識していた。
暑さについては、英雄広場を回るところは全く影がなかったので暑く感じたが、コース沿いはけっこう影があったので、日本よりは全然ましではあった。しかし、もう少し涼しいのかなと想像してブダペストに入っていたので、意外に暑いのだなと思った。
レース中に足が攣る場面があったので、それをどうすれば改善できるのかということが今後の課題として1つあるが、自己ベストは少しずつ上がってきている。次にはアジア大会に出場するので、そこで2時間50分を切れるように頑張りたい。
ここまで世界選手権には20kmや50kmでも出場してきたわけだが、今回、20km競歩に出場していた柳井選手(綾音、立命館大学)が、私が初めて大阪世界陸上(2007年)に出たときの年齢で、私はそのとき一番下くらいの年齢だったのだが、今回自分が一番上となった。柳井選手を見て、「若いなあ!」と(笑)と思い、いつの間にか自分が一番上になっていることに驚いた。
<来年のパリ(オリンピック)は、20kmかリレーでの挑戦になるがどうするか、の問いに> こういう舞台に立つと、「もう一回勝負したいな」と思う。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト



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