2023.08.26(土)選手

【ブダペスト世界陸上】6日目イブニングセッションコメント:男子200m・鵜澤、飯塚が、パリ五輪や東京世界陸上、今後に向けての抱負を語る



Day5:8月24日(木)イブニングセッション

ブダペスト2023世界選手権は、大会6日目のイブニングセッションが8月24日に行われました。この日は、4種目で決勝が行われるほか、準決勝3種目、予選1種目が行われるタイムテーブル。日本勢は、男子5000m予選と男子200m準決勝に4選手が出場しました。
2組各組上位8着までを進出条件として行われた男子5000m予選では、1組に塩尻和也選手(富士通)、2組に遠藤日向選手(住友電工)が出場しました。序盤で後方に位置する形となった塩尻選手は、上位集団のペースが上がったときにうまく対応できず13分51秒00(18着)でのフィニッシュに。逆に序盤を3~4番手に位置してレースを進めた遠藤選手は、徐々に順位を落としながらも上位集団に食らいつきましたが、残り2000mを切ったところで後退。17着(13分50秒49)でレースを終えました。
男子200m準決勝には、前日の予選を通過した飯塚翔太選手(ミズノ)と鵜澤飛羽選手(筑波大学)の2人が決勝進出に挑みました。飯塚選手は、この種目で2013年モスクワ大会、2017年ロンドン大会、2022年オレゴン大会に続く4回目の挑戦です。全3組で行われ、各組2着+2が決勝への進出条件となるなか、飯塚選手は第1組、鵜澤選手は第3組に振り分けられました。しかし、飯塚選手を含む第1組の選手を乗せてウォームアップエリアからスタジアムに向かっていたカートが、他のカートと接触するアクシデントが発生。このため、競技は第2組、第3組、第1組の順に行われる形となりました。先に行われる形となった第3組に登場した鵜澤選手は20秒33(-0.4)・5着で初の世界選手権を終了。健康状態を確認したうえでのレースとなった飯塚選手は、コーナーのきつい2レーンでの出走は、もともと抱える古傷の膝への負担が大きいこともあり、7着・20秒54(-0.1)でフィニッシュとなり、“三度目ならぬ四度目の正直”はなりませんでした。



<8月24日:イブニングセッション競技後コメント>

◎塩尻和也(富士通)

男子5000m 予選1組18着 13分51秒00



ラスト勝負は想定していたが、それでも悔しい結果になってしまった。
最初の入りが遅かったので、ラスト勝負になると考え、まず、集団が動くまでは離されないようにということを意識し、動いたあとに対応できるようにしようと考えていた。しかし、少し位置取りが後方すぎたというところがあり、(ペースの)上げ下げではないものの選手の入れ替わりがあったところで、余計な体力を使ってしまった。ラストで集団が動いたときに、対応できずに離れてしまった。ついているときは(体力的に)いっぱいいっぱいになるような場面はなかったが、一度動いて徐々にスピードが上がっていき、確か4200(m)くらいでまた上がったときに、対応できなかった。スピードという部分は苦手ではあるのだが、それでもレース全体のペースで考えれば対応できないスピードではなかったので、そこに対応できなかったのは、シンプルに実力差。あとは位置取りがうまく行かなかったことが響いたのだと思う。
今回得た一番は、「同じレースを走るだけで、まだ勝負という舞台には立てていない」という悔しさを実感として得たということ。もともと学生のころから種目にはこだわらず、ユニバーシアード(現ワールドユニバーシティゲームズ)でも10000mに出場もしているので、極論を言えば、どの種目でも勝ちたいというのが一番にある。今年は、5000mをうまく走れてこの舞台に立てたわけだが、それでも3000m障害物のオリンピックのときと同じように、なかなか予選突破というか、勝負というところではいい走りができていない。今回の代表選手のなかでは年長のほうになってきて、大学くらいであれば「いい経験」と言えるけれど、もうそればかりを言っていられない年齢になってきたので…。もちろん、自分では「何歳まで(競技する)」といったことは考えていないが、残り少なくなってきているチャンスのなかで、しっかり日本代表というところと、出場したからには代表として戦うために、若い選手以上に頑張って、今後取り組まなければいけないなと思う。


◎遠藤日向(住友電工)

男子5000m 予選2組17着 13分50秒49



昨年(のオレゴン世界選手権で)は前を走っていた選手の転倒に巻き込まれてしまい、そのタイミングでペースが上がり、対応できなかったが、今回は、そういうハプニングなく走れた。まだまだ力は及ばないけれど、まずは結果どうこうではなく、自分のやりたい走りができたのでよかった。
レースではつけるところまで先頭につくチャレンジができた走りだった。
具体的にどの位置で走るかというところは全く決めておらず、スタートして、アウト(のレーン)からスタートした選手も合流したタイミングで、たまたま一緒にトレーニングしてきたカナダのモー(Mohammed AHMED)とUSのショーン(Sean MCGORTY)がたまたま並んでいるような形になっていたので、この2人についていこうと3番手でレースを展開することにした。
全部は見ていないが、1組目が3000mくらいまでスローペースだった。今年から(ラウンドの進出条件が)着順のみとなったので、2組目のペースが速くなるというわけではないので、とりあえずどのような展開が来ても対応できるポジションで走ろうとした。
着順で進出が決まるようになると、日本では味わえないレースになる。日本は、どのレースも、今や日本選手権ですらペースメーカーがついて、記録会のようなレースとなる。1周1周で(ペースの)上げ下げのあるレースというのは、(海)外に出てみないとなかなか経験することができない。
改めて難しいなと考えた。


◎飯塚翔太(ミズノ)

男子200m 準決勝1組7着 20秒54(-0.1)



(予選ではqルームで約45分待機。準決勝前には移動用カートの接触事故)今回は、なんかめちゃくちゃ濃い(笑)。レース自体は、(膝への負担が大きいためにうまく走れない)2レーンであったにもかかわらず全体を通したら良かったが、中盤でスピードが乗りきれなかったというのがあった。(膝の影響で、急なコーナーを)うまく回れなかったのだが、もうちょっとやれる手応えもあった。結局、力及ばずではあったが、後半もうまく走れたし、ベストレースに近い感覚。力は出しきれたと思う。
今回、予選で走った組のレベルが高すぎたわけだが、やはりそこを着順で通過する必要性(それによって準決勝で良いレーンが割り振られるので)を感じた。準決勝で2着に入るためには20秒02。準決勝で(水準が一気に)上がってきた。もう一回チャレンジしたいなという気持ちが湧き上がってきて、ちょっと燃えるような気持ちになった。もうちょっとやりたい。食らいつきたいなと思う。次は(予選を)着順で通って、いいレーンで勝負したい。
今回の世界選手権は、ぎりぎり(インビテーションでの)出場で、もうドベ(ビリ)から来て、どこまで行けるかという楽しみもあった。調子は、(日本選手権後に)ヨーロッパを転戦したあたりから上がってきていた。いろいろ試して、いろいろ噛み合ってきて、微調整して、うまくブタペストへ乗り込めていた。パリオリンピックの参加標準記録(20秒16)も、予選を走ったあとは「あ、これで(20秒)2が出るんだ」という感じだったので、攻めれるところまで行ければ十分に行ける手応えがある。(来年のパリオリンピックはWAワールド)ランキングで行くことより、標準記録を切るくらいの気持ちでいかないと、本番で戦えないと思う。まだ上にいけそうな予兆もありながら、世界の壁も感じながら、本当に燃えているところである。
リレーについては、まだ話がないので全くわからない状態だが、本当にもう基本的に、どこでも走れる。とりあえず、一緒にくっついてアップしているので、何かあれば対応するし、そうでなければ(応援でチームを)盛り上げたい。


◎鵜澤飛羽(筑波大学)

男子200m 準決勝3組5着 20秒33(-0.4)



「楽しかった」というのが一番の感想。(準決勝になると、トップの選手たちは)前半からあのスピードで入り、しかも後半にちゃんとつなげてくる。もうお手上げという感じ、まだ(戦うのは)無理。身体の感じは調子がよかったのだが、もう一つもう二つくらい自分に足りないものがあるということを感じた。それがなんであるかはわからないので、日本に帰って、しっかり検証したい。
準決勝になると、アウェー感がすごかった(笑)。待機エリアでは、ナイトン(アメリカ)とか、ヒューズ(イギリス)とかの歓声(雄叫び)が聞こえてきて、「いかに(その場を)自分のものにするか」みたいな…(笑)。あれはすごいと思ったし、あれくらいの状態になりたいと思った。いい経験だったと思う。日本では絶対に経験できない試合の雰囲気だし、レベルだし。今後、世界のトップと戦っていくためには味わっておいたほうがいい経験。パリ(オリンピック)の参加標準記録(20秒16)は切れなかったけれど、もともと、そうしたことをしっかりと吸収して帰りたいとも言っていたので、そっちの目標はしっかり達成できたと思う。
日常では、あのスピードで行く人たちと練習することはできないので、あの景色を見ることもできない。自分の前を走っていく景色、自分の前に出られたあの感じ、その感覚は忘れずにいたい。
今回は、もともとパリ(オリンピック)と次の世陸のための大会という位置づけで、だから(参加)標準が切りたかったと思っていた。そのレベルに行けるかなと思っていたが、まだ力不足だった。でも、来年、再来年に向けての経験はしっかりできたと思うので、次はファイナルに残りたい。なんやかんや言っても負けたのは悔しいので、次はファイナルに残れるように頑張りたい。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト



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