2024.03.08(金)大会

【JMCシリーズ】東京マラソンレポ―ト:男子は西山雄介、女子は新谷仁美が日本人トップでフィニッシュ!西山はパリ五輪内定ならずも自己記録を大幅に更新



東京マラソン2024が3月3日、東京都庁前をスタートして水道橋、上野広小路、神田、日本橋、浅草雷門、両国、門前仲町、銀座、田町、日比谷を経て、東京駅前の行幸通りでフィニッシュする42.195kmのコースで行われました。
男女エリートの部は、日本陸連が展開するジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズⅢの男子(GS=グレードS)は第8戦(最終戦)、女子(G1=グレード1)は第6戦としての開催。さらに、8月に行われるパリオリンピックマラソン日本代表の最後の1枠を懸けたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジの最終戦として行われた男子についてはこの大会の結果で、3人目の男子代表選手が内定する条件下でのレースです。
同時に、この大会は、世界最高峰と位置づけられる「アボット・ワールドマラソンメジャーズシリーズⅩⅥ(16)」の第1戦にあたります。今回も男女とも海外トップランナーが多数エントリーしたことで、世界記録に迫る好パフォーマンスも大いに期待されるなかで、当日を迎えました。

※本文中における5kmごとの通過タイムとラップは公式発表のデータを、1kmごとのラップは、大会中の速報を採用している。


日本人トップは西山!設定記録に41秒届かず

パリ五輪内定ならずも大幅に自己記録を更新



この日の東京は、風もなく、穏やかな晴れ間とともに朝を迎えました。レースは例年同様に、午前9時10分にスタート。ランナーたちは、東京都庁前に設けられた出発ゲートを飛び出していきました。主催者発表による出発時点の気象状況は、天候晴れ、気温9.6℃、湿度22%(風は未発表)と上々のコンディションです。
主催者側は、今大会のペースメーカーを、男女ともに設定タイムを2段階に分け、2つのグループで進められるように用意。第1グループは優勝争いを想定した日本国内最高記録が狙えるペース、第2グループは日本人首位争いを想定した日本記録更新を狙えるペースです。それぞれの設定タイムは、男子第1グループが1km2分52秒(フィニッシュ想定タイム:2時間00分58秒、以下同じ)、男子第2グループは1km2分57秒(2時間04分29秒)、女子第1グループは1km3分11秒(2時間14分19秒)、女子第2グループでは1km3分16秒(2時間17分50秒)で、男女ともに最長で30kmまでカバーすることになっています。



本来であれば、優勝争いからレポートすべきところですが、ここでは、まず、パリオリンピック代表の座を巡って繰り広げられた男子日本勢の戦いからご報告しましょう。パリオリンピックのマラソン代表は、昨年9月に行われたMGCにおいて、1・2位を占めた小山直城選手(Honda)と赤﨑暁選手(九電工)の2人が代表に内定しました。その後、「最後の1枠」を勝ち取るために、2時間05分50秒の設定記録を満たすことを条件とするMGCファイナルチャレンジがスタート。2戦を終えた段階で条件を満たした選手は現れず、最終戦となる今回の東京マラソンを迎えることになりました。このため、東京マラソンで、MGCファイナルチャレンジ設定記録の2時間05分50秒を満たす結果が出た場合は、その最上位者が代表に内定。到達する選手がいなかった場合は、MGC3位の大迫傑選手(Nike)が内定と、いずれにしても「3枠目」が決まるということで、高い関心を集めるなかで“パリへのラストチャンス”となるレースが始まりました。

スタート直後から猛然と飛び出していった第1ペースメーカーの引っ張る先頭グループは、すぐに海外招待選手を中心とするトップ集団と少し後れて続く複数の選手たちに分かれる構図になりましたが、そこに続くところでレースを進めることになった第2ペースメーカーが牽引する日本人上位グループは、外国人選手のほか西山雄介選手(トヨタ自動車)、作田将希選手、其田健也選手(以上、JR東日本)、山下一貴選手(三菱重工)あたりが前方に位置して、縦長の大きな塊が切れ目なく続くような隊列で、最初の1kmを3分55秒で入る速い滑りだしとなりました。しかし、5kmはそこから大きく下っていくなかで迎えたにも関わらず14分54秒での通過。42人となった集団は、最初より少しまとまってきた印象で、有力選手たちはほぼ、集団の中央から前方に位置しています。

最初の波乱が起きたのは、そこから少し経ったところでした。なんと上位候補の1人と目されていた山下選手が、集団から後れてしまったのです。5kmを通過した段階ではスタート直後より少し下がった集団の中ほどを走っていましたが、徐々に後退して、7kmを目前とする辺りでは集団の最後尾へ。その後、一気に突き放されてしまう形となりました。10kmは29分44秒(この間の5km14分50秒、以下同じ)での通過。最初の5kmよりは少しペースは上がったものの、中継車からペースの上げ下げが生じている指摘が挙がったり給水で接触が生じる場面が見受けられたりと、スムーズとは言いづらい状況になっている様子が窺えます。その後、集団は前方に位置する日本選手の顔ぶれを少しずつ変えつつ歩を進めますが、15kmは44分39秒(14分55秒)と再びペースダウン。浅草雷門に向かう18km付近では、それまで中団に位置していた日本記録保持者の鈴木健吾選手(富士通)が日本選手の先頭に浮上してきました。



そんな日本人トップ集団に、19.1km過ぎで大きなアクシデントが起きました。集団の前方より少し後ろの付近で転倒が発生したのです。これにより西山選手、木村慎選手(Honda)と海外勢2選手が転倒。さらに、これが契機となって集団がいくつかの塊に分裂しました。日本人先頭集団のペースが落ちていたこともあり、転倒した西山選手はすぐに集団に復帰、木村選手も日本人先頭集団が20kmを59分40秒で通過したころには追いついて最後尾につきましたが、一方で15~20kmの集団のペースは15分01秒まで落ち込む状況になっていました。
ここで存在感を示したのが鈴木選手。中間点は、ペースメーカーが1時間02分54秒、鈴木選手は1時間02分55秒で通過しましたが、鈴木選手は、このタイムを確認すると、ペースメーカーの前に出てリードし、ペースアップを促したのです。こうした動きや、前方で5位争いをするグループの背中が近づいてきたこともあり、20kmからの5kmは14分49秒に上がり、25km地点は、5位集団に追いついた状態で1時間14分29秒での通過に。しかし、これに対応できなかった選手たちが次々と振り落とされていきます。一時は集団の前方でレースをリードする場面も見せていた小椋裕介(ヤクルト)・高田康暉(住友電工)・服部勇馬(トヨタ自動車)の3選手が置き去りに。さらには細谷恭平選手(黒崎播磨)が後れ、23.95kmにある門前仲町の折返し点では集団の最後尾につけていた定方兄弟の俊樹選手(三菱重工)と駿選手(マツダ)も後退。5位争いとなった集団に位置する日本選手は12人になりました。



MGCファイナルチャレンジ設定記録の2時間05分50秒を達成するためには、後半のペースアップが必要となる厳しい状況となったなか、5位集団を引っ張る形となったペースメーカーが、1km2分56~57秒へとペースを引き上げたことで、サバイバルの様相は一段と激化します。まず集団の後方で25kmを通過していた選手が突き放されると、なんと27km地点では、25km通過段階では集団中央で走っていた鈴木選手までもが、ふるい落とされてしまいます。
一方、6人となった日本選手を含む5位集団は、ペースメーカーだけがリードを奪うような状況に。この様子を見て、前に出てきたのが日本の実業団に所属するビダン・カロキ選手(トヨタ自動車)。一人で進むペースメーカーのすぐ後ろにつき、時折後ろを見て集団にペースアップを促します。これにチームメイトの西山選手が反応して集団から抜け、カロキ選手を追走。28.3km付近で単独6位となって5位のカロキ選手にぴたりとつきました。さらにこの動きに外国人選手が続いたことで、あっという間に集団は縦に長い隊列へと変貌。後続の日本勢は、外国人3選手を挟んで其田選手が続き、間に外国人選手が入ったなか浦野雄平(富士通)、木村慎(Honda)、田村友佑(黒崎播磨)、横田俊吾(JR東日本)の4選手が続く形となりました。

しかし、その状況は長く続かず、西山選手の後ろにいたハイレマリアム・キロス選手(エチオピア)が単独5位に浮上してペースメーカーと2人で前を走ることに。ここで日本人先頭集団は2つに分裂。キロス選手に続いたツェガエ・タチョウ選手(エチオピア)がリードする6位集団につくことができた日本勢は3人に絞られます。キロス選手が1時間29分12秒(14分42秒)で通過した30kmは、3選手を挟んで浦野選手が1時間29分14秒(14分44秒)で9位、西山選手と其田選手がともに1時間29分15秒(14分45秒)で11・13位での通過となりました。
30kmで最後のペースメーカーが外れると、浦野選手は給水でのペースアップを利用して前にいたカロキ選手とサイモン・カリウキ選手(戸上電機製作所)をかわして単独7位に浮上。西山選手は少し離されながらもビクター・キプランガット選手(ウガンダ)、カロキ選手、カリウキ選手、ハイムロ・アラメ選手(イスラエル)と5人で浦野選手を追いましたが、其田選手はここで突き放されてしまいます。この状態は、32km過ぎまで続きましたが、西山選手が海外4選手からやや後れ、勢いに翳りが出始めた浦野選手も32.5km過ぎでキメリ選手を先頭とする4選手の集団に吸収され逆転。浦野選手・西山選手が11・12番手に後退することとなりました。

いったんは突き放されたかのように見えた西山選手が、ここで息を吹き返します。33.3kmで浦野選手をかわして日本人トップの座を奪い返すと、7位グループを追走。34.5kmではペースダウンしてきたエウリド・キプチョゲ選手(ケニア)を抜いて、その段階で4位グループとなった集団の最後尾に追いつき、1時間44分18秒(15分03秒)・9位で35kmを通過していったのです。しかし、パリ行きを懸けた2時間05分50秒を考えると、いわゆる“貯金”のなくなった厳しい状況にもかかわらず、西山選手は、ここでペースダウン。いったんは迫った4位争いの隊列からも徐々に離されてしまいます。この5kmは15分31秒を要して40kmを1時間59分49秒で通過。ラストスパートが求められる状態で、最後の2.195kmを迎えることになりました。懸命にペースアップを目指すも1km3分を切るところまでは上げられず、MGCファイナルチャレンジ設定記録のクリアは難しい状況に。西山選手は、自己記録(2時間07分47秒)を大幅に更新し、日本歴代9位となる2時間06分31秒・9位でフィニッシュ。日本人最上位を占めたものの、パリ行きチケットを手にするには41秒届かず、この結果、3人目のパリオリンピック日本代表は、MGC3位の大迫選手に内定しました。
西山選手に続いたのは、一度は後れたものの終盤で追い上げ、36kmで2番手に浮上した其田選手です。セカンドベストの2時間06分54秒をマークし、11位でフィニッシュしました。この其田選手と競り合いながらフィニッシュしたのが細谷選手。中盤で上位争いから離脱したものの、じりじりとその遅れを取り戻し、自己2位の2時間06分55秒(12位)でレースを終えました。



>>西山雄介選手コメントはこちら


キプチョゲがまさかのペースダウン!

レースは、キプルトは世界歴代5位で制す



今回の東京マラソンでは、男子日本選手によるパリオリンピック最後の「1枠」を懸けた激戦にとどまらず、男女海外招待選手による“世界水準の高速レース”も堪能できる大会となりました。
男子では、世界歴代2位の2時間01分09秒の自己記録(前世界記録)を持ち、オリンピック男子マラソンを2連覇中、この大会のコースレコードで日本国内最高記録でもある2時間02分40秒を保持しているエウリド・キプチョゲ選手(ケニア)を筆頭に、2時間3分台の自己記録を持つヴィンセント・キプケモイ・ゲティッチ選手、ティモシー・キプラガト選手、さらには2時間04分02秒と2時間3分台に迫る記録を持つベンソン・キプルト選手(以上、ケニア)といった豪華な顔ぶれがエントリー。この層を牽引するペースメーカー3人に課せられた設定タイムが、1km2分52秒(フィニッシュ想定タイム:2時間00分58秒)となったことで、日本国内最高記録の更新のみならず、昨年10月に樹立された世界記録(2時間00分35秒、ケルビン・キプタム)をも塗り替えられるのではないかという期待が集まるなかでスタートしました。

号砲とともに全く異なるスピード感で飛び出していった外国人先頭集団は、最初こそペースメーカーを除いて15名前後が一団となっていましたが、入りの1kmが2分48秒というハイペースになったこともあり、この段階で8人に。14分16秒で通過した5kmは7人で通過すると、その後も、2分47秒、2分47秒と設定ペースを大きく上回るラップが刻まれたことで、8km手前で、速くもキプチョゲ、キプラガト、キプルト、ゲティッチの4選手に絞られてしまいました。5~10kmは14分14秒とさらにペースアップして10kmは28分30秒で通過。15kmも42分52秒(14分22秒)と世界記録を大きく上回るペースで、この速さに16kmすぎでペースメーカーの1人が早くも脱落するほど。各選手とも快調に歩を進めているように見えました。



そんななか19kmを過ぎて蔵前橋通りに入ろうかという直前で、「まさか」の事態が起こりました。なんとキプチョゲ選手がペースダウン。あっという間に先頭集団から離れてしまったのです。その差は、先頭が57分14秒(14分22秒)で通過した20km地点で5秒に広がり、ペースメーカーの1人が後ろに下がってキプチョゲ選手につく動きを見せます。その後、やや後れがちな様子を見せていたゲティッチ選手がわずかに離れ、中間点はキプラガト選手とキプルト選手の2人がペースメーカーについて1時間00分20秒で通過。2秒後れてゲティッチ選手が、キプチョゲ選手は14秒後れて続く展開となりました。次の5kmでは14分25秒と少しペースが落ちて、25kmは1時間11分39秒で通過。直後の給水地点で30kmまでの予定だった最後のペースメーカーが離脱して、キプラガト選手が首位に立ち、すぐ後ろにキプルト選手、ゲティッチ選手は10mほど離れて追う形となりました。



レースが大きく動いたのは27km付近でした。25km以降を2分52秒、2分51秒とペースを引き上げていたキプラガト選手がスパートし、キプルト選手を突き放しにかかったのです。29km以降はペースダウンが見られたものの、キプラガト選手はこの5kmを14分29秒でカバーして、30kmの段階でも世界記録を23秒上回る1時間26分08秒で通過していきます。しかし、その後も2分57~58秒のペースにスローダウンしたことで、追い上げてきたキプルト選手と、そのキプルト選手に追いついていたゲティッチ選手の2人が、31.5km付近でキプラガト選手に追いつき、再び3人の集団に。キプルト選手は、そこで間を空けずにキプラガト選手をかわして先頭に立ち、これにキプラガト選手がぴたりとつきました。追いすがってきたゲティッチ選手は、ここで再び置き去りに。そこからはキプルト選手とキプラガト選手のマッチレースとなりました。

そこまでのハイペースのダメージに牽制も重なって、両者のペースは上がらず、35kmの通過は1時間41秒02秒。ここで世界記録のペースからは大きく後れてしまいます。37kmすぎでキプラガト選手がいったん前に出ましたが、残り4kmとなった38km過ぎでキプルト選手が再逆転。キプラガト選手を突き放し、ここで勝負が決まりました。キプルト選手は40kmまでを14分46秒に引き上げて1時間55分48秒で通過すると、最後の2.195kmは6分28秒でカバーして、世界歴代5位にジャンプアップする2時間02分16秒の大会新記録(=日本国内最高記録)でフィニッシュ。自己記録を1分46秒も塗り替えるとともに、2014年・2018年とこの大会を2回制している兄のディクソン・チュンバ選手(ケニア)に続く優勝を手に入れました。2位のキプラガト選手も2時間02分55秒と、自身初の2時間2分台をマークし、世界歴代7位タイへに浮上する好成績を収めました。

キプチョゲ選手は、終盤では5kmのラップが15分40秒を超える苦しいレースとなりましたが、それでも最後まで走りきり、2時間06分50秒で10位。西山選手(9位)と其田選手(11位)の間でフィニッシュしています。




女子はケベデは世界歴代8位でV!日本人TOPは新谷仁美



女子についても、素晴らしい顔ぶれが揃いました。2019年ドーハ世界選手権1500m・5000m2、2021年実施の東京オリンピックでは1500m銅、5000m・10000mで金と3つのメダル獲得を果たすなどトラック種目で中長距離の女王として活躍しつつも、昨年4月に初めて挑戦したロンドンマラソンで制すると、3種目に出場したブダペスト世界選手権(1500m銅、5000m銀、10000m転倒により11位)を経て、10月に臨んだシカゴマラソンで世界歴代2位の2時間13分44秒をマークしているシファン・ハッサン選手(オランダ)が来日。ブダペスト世界選手権女子マラソン金メダリストで世界歴代5位の2時間14分58秒を自己記録に持つアマネ・ベリソ・シャンクレ選手(エチオピア)や、前回、2時間16分28秒の好記録で優勝したローズマリー・ワンジル選手(ケニア、青森山田高卒)もエントリーしたことで、2022年にこの大会でブリジット・コスゲイ選手(ケニア)がマークした日本国内最高記録2時間16分02秒の更新とともに、ディギスト・アセファ選手(ケニア)が昨年マークした2時間11分53秒の世界記録にどこまで迫るかにも注目が集まったのです。女子の第1グループには、1km3分11秒(2時間14分19秒)を設定タイムとするペースメーカーが用意されてのスタートとなりました。

レースは、シャンクレ、ストゥメ・アセファ・ケベデ(エチオピア)、ワンジル、ブズネシュ・ゲタチョウ(エチオピア)、ハッサンの5選手が最初の5kmを16分16秒で入り、これに3選手が秒差で続く滑りだしに。その後、10kmを32分24秒(16分08秒)、15kmを48分38秒(16分14秒)で通過したところまでは7人が先頭集団でレースを進めていましたが、先頭に位置するワンジル、ケベデ、シャンクレ選手がペースを上げて1時間04分45秒(16分07秒)で通過した20kmまでに2選手が後れ、ハッサン選手は多くの一般ランナーに取り囲まれる形でトップと4秒後れの1時間04分49秒で通過することになりました。ハッサン選手は、そこからいったんペースを上げて25kmを1時間20分45秒(15分56秒)で通過し、1時間20分43秒(15分58秒)で通過した上位3選手との差を縮めましたが、その後、ペースを維持できなくなり、上位3選手が1時間36分43秒(16分00秒)で通過した30kmまでに、17秒の差がついてしまいます。その後は、さらに大きくペースを落とし、上位争いからは脱落することになってしまいました。

3選手による並走は、1時間52分42秒(15分59秒)で通過した35kmを過ぎるまで続きましたが、ここでシャンクレ選手が後れて、ケベデ選手とワンジル選手のマッチレースに。レース後「スパートはしたのは37km過ぎ。残り5kmからできる限りのスピードを出そうとした」と振り返ったケベデ選手が、40km地点でワンジル選手を1秒リードする2時間08分45秒(16分03秒)で通過すると、そこから一気に突き放して最後の2.195kmを7分10秒でカバー、大会新記録(=日本国内最高記録)の2時間15分55秒でフィニッシュ。2022年にマークした自己記録の2時間18分12秒を大幅に更新。世界歴代8位へと自身をランクアップさせる好走でした。2位のワンジル選手も2時間16分14秒と世界歴代10位の好記録でフィニッシュ。前回出した自己記録を14秒更新しました。3位のシャンクレ選手(2時間16分58秒)までが2時間16分台。ハッサン選手は2時間18分05秒で走りきり、4位でレースを終えました。



このほか、女子エリートの部には、2時間19分24秒の自己記録を持つ新谷仁美選手(積水化学)が出場。設定タイムを1km3分16秒(2時間17分50秒)とするペースメーカーも用意され、1月の大阪国際女子マラソンで前田穂南選手(天満屋)が樹立した2時間18分59秒の日本記録更新に挑みました。15kmまでの各5kmが16分37~39秒台と想定よりもかなり遅い入りとなったことで、15~20kmは16分27秒にペースアップしたものの、中間点は1時間09分52秒での通過になってしまいます。レース後、「ハーフで遅いことに気づいた」を振り返った新谷選手は、20~25kmの5kmを16分10秒までペースアップしましたが、結果として、そこで力を使い果たしてしまう形に。1時間39分03秒で通過した30kmまでは16分台(16分33秒)を維持しましたが、その後、大幅にペースダウン。1時間56分16秒での通過となった35kmでは17分13秒に、40kmまでは17分51秒に急落し、2時間14分07秒で40kmを迎えることになってしまいました。日本人トップの6位でフィニッシュしたものの、記録は2時間21分50秒にとどまり、目標をクリアすることは叶いませんでした。



>>新谷仁美選手コメントはこちら


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


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